「中国製の人工呼吸器は欠陥品」イギリスの医師らが政府に直訴状
British Doctors Say Ventilators Purchased From China Could Kill Coronavirus Patients
ロンドンの仮設病院のために用意された大量の人工呼吸器 Stefan Rousseau/REUTERS
<各国に医療用品を提供して「マスク外交」を展開する中国、その信頼性を疑う声が続々と上がっている>
イギリスの医師らのグループが、中国から購入した250台以上の人工呼吸器に関して、安全性への懸念を表明した。
米NBCニュースによると、英NHS(国民保健サービス)が運営する病院に勤務する医師らが幹部宛てに手紙を送り、もしこの人工呼吸器が病院で使用された場合には、「患者に甚大な被害を及ぼし、最悪の場合は死亡する」と警告した。
この人工呼吸器は北京の医療機器メーカー「北京誼安医療(Beijing Aeonmed)」が製造した「シャングリラ510型」。この件に関する製造元のコメントは得られていない。
医師らは手紙で、人工呼吸器の「基本的」な性能に深刻な懸念があると述べている。「不安定で信頼性に欠ける」という。またイギリスの医師たちはこのモデルの人工呼吸器についてよく知らないうえ、そもそも救急搬送用のもので病院では使用しないという。
このため医師らは、「この人工呼吸器を回収して、我々の患者に集中治療を行うより良い医療器具への交換を望む」と政府に求めている。
中国製は「予備」の機器?
本誌の取材に対して、NHSに代わってコメントした英保健省は、「シャングリラ510型」は予備として所持しているもので、現時点ではイギリスのどこの病院でも使用されていない、と回答した。
また英政府広報は、「人工呼吸器はNHSの各病院に届けられる前に、使用基準に達しているかどうか厳格な検査に合格しなければならない」と、本誌取材に答えた。
手紙の日付は、英政府が医療機器を提供した中国への謝意を示した9日後の4月13日になっている。
この時、会見した内閣府担当大臣のマイケル・ゴーブは、「イギリスの医療体制の確保を支援してくれた中国政府に対して感謝する」と話していた。