休業補償、中国の場合
たとえば2月9日の人民網は湖北省で2月8日に試みられた「小企業および零細企業に対して、免除金額の50%以下を補助する」という政策を伝えている。また上海では「不動産側に対して不動産税・城鎮土地使用税の免除を申請できる」などとし、北京では「政策的優遇を提供する」としていた。
これに対して2月25日、李克強(国務院総理)は国務院常務会議を主催し、「民間不動産のテナント代削減を強要することが困難なので、削減する場合は城鎮土地使用税の減額・免除という方式で補助する」という方針を決めた。
それ以外にも電気代や水道代などの免除、税金の免除あるいは延期、融資の優遇、返済の延期や金利の優遇など、さまざまな施策が実施された。
中国にはまた、「住宅積立金」制度があるが、これは「個人」あるいは「個人が所属する企業」が国家に納付して、国家が代わりに保管し、不動産購入などの時に引き出すことができる経費である。
たとえば個人が1万人民元を納付したら、企業が追加して1万人民元を国に納付し、不動産購入とか賃貸あるいは内装工事などをする時に2万人民元の資金を取り出せるということになる。この積み立てた金額によって低金利ローンを組むことができる。また就業期間に使わなければ、定年後に一括して個人に還付されるという仕組みだ。
そこで、家賃の支払いが大きな圧力になっている一般労働者は、この「住宅積立金」から引きだして現在の家賃支払いに充てていいという措置も取っている。この特別引き出しを2020年6月30日まで行っていいことになっている。
この措置に関しては各地の行政区分によってさらに異なる優遇策も講じたようだ。
アフターコロナにおける影響
中国は人口が多く地方格差も激しいので、なかなか全国一律という保証はしにくいが、少なくとも武漢封鎖翌日には中国政府として全国レベルで「休業指示」と同時に「休業補償通知」を発布しているので、中国人民の間では、それほど大きな反対運動はなく、今では経済活動に復帰している。
もちろん言論弾圧に対する不満はくすぶり、もっと早く武漢の状況を公表していれば、こんなことにはならなかったのにという憤りは一時期激しかった。