休業補償、中国の場合
さらに2月7日の通知では就業安定補助金交付基準の緩和、工会経費・企業組織会費などの返却、2月20日の通知では中小企業や零細企業の社会保険料の免除が発表された。
2月9日には故郷における春節の大型連休を終え、それぞれが職場に戻るはずだった農民工に対して移動を禁止するわけだから、その補償が必要になる。
農民工を含めて中小企業や零細企業に対する補償に関しては、前年度納付した失業保険金の50%返却を基本として、「+α」の補助を行う。
どうやら、中小企業のリストラ率がある基準を下回ると、失業保険の還付金がもらえ、失業保険に参加している職員数が30人以下の企業なら、リストラ率が20%以下なら 失業保険の還付金がもらえるという計算になるようだ。
これは地方によって待遇が異なり、湖北省などでは「解雇率が5.5%以下の場合は、前年度納付した70%の失業保険金を返却する」となっており、最近は「5.5%以下なら100%返却、5.5%以上なら70%返却」になっている。また湖北省では、3月21日の時点で、雇用人数500人以下の企業10万社に対して雇用安定補助金5.58億人民元(84.5億円)を還付した。還付対象となる企業の雇用人数は230万人に達する。
一方、大卒生の就職問題に関しては、ネットで面接をして採用するように指示を出し、実際に実行された。
コロナ防疫期間のテナント代などに関して
飲食店を始め、多くの商店は大きなビルの一室をテナントとして借りて商売をしている。しかし営業をしてはならないとなれば、売り上げがゼロになるだけでなく、テナント代(家賃)の支払いは継続して発生するので実収入はマイナスになる。一ヵ月もしないで倒産へと追い込まれるだろう。
そこで全国レベルの政策としては、基本的に「国有不動産の場合はテナント代に関しては2月(あるいは2月と3月)を免除とする(実際上は4月まで免除となったケースが多い)、民間不動産の場合はテナント代を削減することを提唱する」となっている。
中国は国土が広大で地方格差が激しいため、テナント代の補償に関しては全国一律の政策が出しにくく、各地方政府によってさまざまな方法が試みられ、初期のころには混乱も起きている。