イギリスでも感染症を扱った書籍の売り上げが激増
調査は、リーディング・エージェンシーが毎年4月23日に行っている、読書習慣を促進するイベント「ワールド・ブック・ナイト」に合わせて実施された。このイベントは、4月23日午後7〜8時に、ひとりで読書をしたり、#ReadingHour のハッシュタグを付けて、お気に入りの本をソーシャルメディア(SNS)でシェアしたりなど、何でもいいので、本に関する活動をするというものだ。
今年の「ワールド・ブック・ナイト」は、英国でロックダウンが開始された日からちょうど1カ月後となった。リーディング・エージェンシーは、外出できない今だからこそ、SNSを使って、本について語り合うなどして人とつながるべきだと呼びかけている。
オンライン書店、ロックダウン直後の売り上げは前週比400%増
英国で本がかなり読まれているというのは、他の数字にも現れている。
公立図書館はロックダウン中、閉鎖されているのだが、オンラインでの利用は可能で、新規利用登録の受け付けや電子書籍などの貸し出しも行っている。英BBCによると、ロックダウン後に新規の利用者登録が相次ぎ、600%以上の増加となる12万人が新たに利用登録を行ったという。電子書籍、電子雑誌、オーディオブックの貸し出しは3月、前年比で平均63%増加した。
紙の書籍の売り上げも好調なようだ。英ガーディアン紙は、英国の書籍売り上げデータを集めているニールセン・ブックスキャンからの数字だとして、ロックダウン直前の3月21日の週、英国で紙の本の売り上げが6%増加したと伝えた。
また、ロックダウンにより実店舗が休業となった後も、オンライン店舗の売り上げが好調だ。ガーディアンによると、英国最大のチェーン書店ウォーターストーンズは当初、書籍も生活必需品だとしてロックダウン中も営業の意向を示していた。しかし感染のリスクを懸念した従業員が反対したため、ロックダウンの開始とともに休業。その翌週、同店のオンラインでの売り上げは、前の週と比べて400%増になったという。
リーディング・エージェンシーの調査結果と同様に、ガーディアンもまた、定番のフィクションや長編小説が売り上げを伸ばしたと報じている。ペーパーバックのフィクションは、スーパーでの売り上げを中心に、35%増加した。自宅学習教材や、教科書および学習参考書も好調で、それぞれ212%増、77%増となった。ただし、ノンフィクションは低調とのことで、前週比13%減。ガーディアンは、空想の世界に癒しを求めた読者が多かったのが原因だとしている。