最新記事

コロナ禍の世界

イギリスでも感染症を扱った書籍の売り上げが激増

2020年4月30日(木)17時30分
松丸さとみ

ridvan_celik -iStock

<イギリスでロックダウン前よりも本をよく読むようになったと答えた人は、全体の31%に達した......>

若年層では2人に1人が読書量アップ

英国では、3月に全国規模でロックダウンが始まって以来、読書で時間を過ごす......という人が増えているようだ。読書習慣を促進する英国の慈善事業団体リーディング・エージェンシーが4月15~16日、英国人2103人を対象に、ロックダウン中の読書(紙の本、電子書籍、オーディオブック)について調査を行った。

英国では、3月23日に外出禁止令が発令され、いわゆる「ロックダウン」状態になった。医療従事者や、食料品店など生活必需のサービスに就く人を除き、生活必需品の買い出しや、エクササイズ、医療目的、生活の支援を必要とする人のケア、という理由以外では外出できないことになっている。

リーディング・エージェンシーが行った調査で、ロックダウン前よりも本をよく読むようになったと答えた人は、全体の31%に達した。読書量は変わらないと答えた人は51%、減ったと答えた人は3%だった。特に読書量が増えたのが18~24歳で、45%の人がロックダウン前と比べ、本を多く読んでいると答えた。

感染症を扱った書籍の売り上げが激増

読んでいるジャンルでもっとも多かったのがフィクションで、10人中7人に達した。中でもクライム・フィクションや定番作品が人気のようだ。

ロックダウン前と比べて売り上げが激増したのが、ペストの大流行を題材にした小説、カミュの『ペスト』(新潮社)と、ネイサン・ウルフの『パンデミック新時代』(NHK出版)だ。どちらも感染症の流行を扱った作品で、売り上げは1393.2%増になったという。

pest0430a.jpg

ロックダウン中に本を読む理由としては、ストレス発散や現実逃避、気を紛らわすため、などの回答が多かった。当然ながら、「時間があるから」という理由も多かった。「(読書は)今よりも良い場所へ連れて行ってくれるし、この状況から少しの間だけ逃避できる」(67歳女性)という意見や、「ワクワクしたいので読むようになった。暇つぶしにもなるし、新しいことも学べる」(20歳女性)などの声があったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:USスチール、28年実力利益2500

ワールド

ネタニヤフ氏、恩赦要請後初の出廷 大統領「最善の利

ワールド

ロシア安保会議書記、2日に中国外相と会談 軍事協力

ビジネス

米サイバーマンデー売上高、6.3%増の見通し AI
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 5
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中