新型コロナウイルスが変える都市の未来 食糧安保や監視強化も
注目は「交通」「食糧」
そして今日、ボゴタからフィラデルフィアに至るまで、各都市の当局は「交通」に注目しており、ロックダウン中でも人々が安心して道を歩けるよう、自転車レーンを追加し、一部の街路への自動車の乗り入れを禁止している。都市計画専門家によれば、こうした措置は今後も長く継続されそうだ。
パリでは、アンヌ・イダルゴ市長が「15分都市」という目標を掲げている。交通渋滞や環境汚染を抑制し、生活の質を改善するために、日常の用事の大半が15分間の徒歩、自転車、あるいは公共交通機関の利用で事足りる街にしようという構想だ。
プライバシー専門家によれば、中国からチェコ共和国に至るまで、感染拡大の防止や隔離強制のために導入された顔認識ソフトウエアなどのテクノロジーが今後も使い続けられ、当局による監視というリスクが増大しているという。
シンガポールでは、COVID-19危機によって、食糧安全保障の問題が前面に出てきた。都市国家であるシンガポールは食糧の90%を輸入しているが、2030年までに必要とする栄養価の30%を国内で生産することを目標として、都市農業を推進している。
シンガポールでは今月初め、このところの感染増加に歯止めをかけるために部分的なロックダウンが実施されたが、各当局は、卵、葉物野菜、魚介類の国内生産を拡大するため、今後6─24カ月間にわたり3000万シンガポールドル(約22億6400万円)の補助金を提供すると発表した。
シンガポール食糧庁は声明のなかで、「今般のCOVID-19を巡る状況は、国内での食糧生産の大切さを裏付けている。国内生産によって輸入への依存が緩和され、食糧供給が途絶したときの緩衝装置になる」と述べている。
シンガポール国立教育研究所のポール・テン所長によれば、都市農業は、都市貧困世帯にとっての生計手段拡大や栄養状態改善を含め、潜在的なメリットは多いものの、未開拓の「手近な果実」だという。
「COVID-19危機に伴い、多くの国の政府は、食糧安全保障を国家安全保障のテーマとしてもっと真剣に扱うことに関心を深めている」
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