新型コロナウイルスが変える都市の未来 食糧安保や監視強化も
ボゴタからフィラデルフィアに至るまで、各都市の当局は「交通」に注目しており、ロックダウン中でも人々が安心して道を歩けるよう、自転車レーンを追加し、一部の街路への自動車の乗り入れを禁止している。写真は4月19日、ロンドンのケンジントン公園で撮影(2020年 ロイター/Simon Dawson)
新型コロナウィルスのパンデミックにより、世界の多くの地域がロックダウン(都市封鎖)に追い込まれているが、アムステルダムからシンガポールに至るまで、各地の都市が持続可能性、食糧安全保障、生活水準の改善を目指す措置を明らかにしている。都市専門家によれば、いずれはこれが当たり前の都市機能になっていくだろうという。
ロイターの集計によれば、新型コロナウィルスの感染者数は世界全体で240万人を超え、死者は約17万人に達している。
国際通貨基金(IMF)は、1930年代の世界大恐慌以来の最も急激な経済の落ち込みを警告しており、国際労働機構も、全世界の労働者の5分の4が、事業の全面あるいは部分停止による影響を被っているとしている。豪グリフィス大学のトニー・マシューズ上級講師(都市・環境計画論)は、「尋常ならざる時期には尋常ならざる対応が必要だ」と語る。
都市計画の議論が新たな段階に
マシューズ氏は「歴史的に、都市計画・デザインにおける主要な革新の多くは、公衆衛生の改善に立脚したものだった」としたうえで、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって「都市の形態や機能をどうすれば改善できるかという議論を新たな段階へと進むだろう」と予想する。
具体的には、各都市は交通、エネルギー、食糧安全保障に注力することにより、自立性の向上とレジリエンス(回復力)の強化を目指すのではないか、というのが同氏の見方だ。
国際連合によれば、2050年までに世界人口の3分の2以上は都市地域で生活することになると予想されている。現在の比率である56%から大きく増加する。
研究によれば、疫病が都市計画の変化につながった例は、今回の新型コロナウィルスが初めてではない。
1830年代のコレラのまん延はロンドンなどの都市における衛生状態の改善をもたらし、20世紀初頭のニューヨークにおける結核の流行は、公共交通システムと住宅規制の改善に道を開いた。
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