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2020米大統領選

新型コロナが握る米大統領選の行方──トランプの再選戦略は

The Coronavirus Campaign

2020年4月15日(水)15時40分
ビル・パウエル(本誌シニアライター)

トランプ陣営は激戦州を狙い、中国からの入国禁止に早い時期に踏み切ったことを強調するはずだ。その頃、民主党とメディアはウクライナ疑惑による大統領弾劾に躍起になっていたとも付け加えるだろう。

仮に投票日までまとまった日数を残した段階でコロナ危機が収束すれば、トランプ陣営は中西部の激戦州に照準を合わせる。前回はトランプがこれらの州で勝利したが、今回はバイデンが有利とみられている。

一方で、トランプ陣営がバイデンの弱みと考えているのは「中国」だ。この選挙戦でバイデンは、中国の競争上の脅威を過小評価する発言を繰り返してきた。新型コロナウイルスが中国発であることから、中国に甘いバイデンの姿勢はマイナスになるかもしれない。トランプ陣営はコロナ危機の展開次第で、バイデンが中国政府の手先であるかのように描く広告を何本か作りそうだ。

しかし、選挙関係者は口をそろえる。今年の大統領選を支配するのは新型コロナウイルスだ、と。「去年のうちに多くの計画を練ったのに、今はもう全く役に立たない」と、あるトランプ陣営関係者は言う。

トランプ陣営は、秋になれば「最高司令官」による危機対応をたたえるCMを流せるよう願っている。同時に、移民や貿易、医療などの主要論点でバイデンをたたくつもりだ。

トランプ陣営は赤い帽子をかぶった黒人女性のCMを、また引っ張り出してくるだろうか。本選が近づけば、そんなことができる空気に戻っているだろうか。ある政権顧問は言った。「それは、あなたにも私にも分かるはずがないだろう?」

<本誌2020年4月21日号掲載>

【参考記事】新型コロナ蔓延でアメリカ大統領選は「未知の領域」へ
【参考記事】サンダース撤退で民主党はバイデン指名確実 トランプへの勝ち目は

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2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

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