「恐怖の未来が見えた」NYの医師「医療崩壊」前夜を記す日記
Inside NYC Emergency Rooms
病院の外には冷蔵機能を備えた遺体運搬車が止まっていて、死亡した患者はそこに運ばれる。感染リスクがあるので遺体は焼かれる。家族が遺体を目にする機会はない。
同僚の医師は遺族に、電話で患者の臨終を知らせた。電話での通知は論外だと教わったし、私も若い人にそう教えてきた。でも今はほかに方法がない。私自身、明日はそうするかもしれない。
私たちもいずれ、同僚の誰かを失うことになる。このウイルスにやられる人もいるだろう。精神的に耐えられない人もいるだろう。みんなの精神状態が心配だ。
妙な言い方かもしれないけれど、もう怖くはない。だって、押し寄せる波が砕けるのは見えているから。その瞬間を座して待つくらいなら、私はあえて立ち向かう。
©2020 The Slate Group
<2020年4月14日号掲載>
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