最新記事

新型コロナウイルス

「恐怖の未来が見えた」NYの医師「医療崩壊」前夜を記す日記

Inside NYC Emergency Rooms

2020年4月6日(月)20時15分

magw200406_ny4.jpg

病院の外には検査を待つ人の行列が STEFAN JEREMIAH-REUTERS

■3月30日 キーン医師

これで4日連続のシフト。今日が何日だか、もう分からないくらいだ。でも今日はCOVIDではない患者を診ることになっている。あれ以外の患者がこの病院にいるなんて、ほとんど忘れていた。

実際、COVID以外の患者はいつもより少な過ぎる。どこに行ってしまったのか。みんな用心して家から出ず、この病院に近づかないようにしているのなら、それもいい(なにしろ現時点で、ここの入院患者の75%強はCOVIDか、その疑いありだ)。

しかし患者が病院を敬遠するのは問題だ。今は街の開業医がほとんど休業中だ。患者が我慢して治療を遅らせれば症状の悪化を招き、もっと面倒なことになる。

ここでもベッドの空きは減るばかりだが、救急車の出動要請は急激に増えているという。しかし救援が来るかもしれない。

今日、海軍の病院船「コンフォート」が埠頭に接岸した。COVID以外の患者はそちらに移送される。セントラルパークにも野外の仮設病院が設営された。国際会議場のジャビッツセンターに続いて、全米オープンの会場となるビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターの敷地も、仮設病院に転用されることが決まっている。

■3月30日 セリーノ医師

今日は言葉が出ない。

朝5時に起きて救急病棟に入り、いま真夜中になってようやくベッドに入るところ。

もう、ボロボロ。

■3月31日 セリーノ医師

今朝は目覚めた時から昨日のことを考えている。少しは眠れて、悪夢も見なかったのがせめてもの救い。昨日の救急病棟はひどかった。内科のフロアには空き部屋がなく、運ばれてきた患者は肩が触れ合うほどぎゅうぎゅう詰めの状態だった。点滴用のポールは1本を5人でシェアした。みんな咳をしていた。安全な場所はどこにもない。検査は全員が陽性だった。みんな、怖がっている。

私たちだって怖い。物資の供給が不足している。酸素吸入が必要な患者が3人いたのに、空いている吸入器が1台もない状態が30分続いた。

あの瞬間、私たちを待ち受ける恐怖の未来が見えた。仕事は病人のケアだけじゃない。今後は誰なら酸素吸入を一時中断しても大丈夫かを判断し、どうすればシェアできるかを考え、誰を最優先で人工呼吸器につなぐかを決めていかねばならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゴールドマンとシティ、パリの従業員を在宅勤務 爆破

ワールド

英企業、エネ価格急騰で値上げ加速へ 雇用削減見込む

ビジネス

テスラの中国製EV販売、2四半期連続増 3月単月も

ワールド

台湾、東沙諸島の防衛強化へ 中国の活動活発化で=政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中