金正恩の動静でCNNインドネシアが放送事故 韓流スターのヒョンビンを北朝鮮兵士に
CNNインドネシア「致命的ミス」と謝罪
CNNインドネシアは同じニュースキャスターが後日番組の中で「先日のニュースは北朝鮮の金正恩氏の重体説などが伝えられる中、その動静に関する情報を報じるもので、韓国ドラマシリーズに登場するリ・ジョンヒョクとは無関係です。このミスは意図的なものではないが、致命的であり、視聴者の皆さんにここでミスをお詫びします」と公式に謝罪する事態に追い込まれた。
ヒョンビンは徴兵され韓国海兵隊で軍務に就いていた2011年10月にインドネシアを海兵隊員として公式訪問しており、当時のインドネシア海兵隊などを訪問するなどインドネシアでも人気のある韓流スターの1人である。また主演女優のソン・イェジンのファンも多い。
インドネシアでは2018年12月にK-POPのアイドルユニット「ブラックピンク」の4人組が通販サイトのテレビCMにミニスカートと肩を出した衣装で登場し、多数派を占めるイスラム教徒を中心に「みだらな服装だ」として放映中止を求める署名が10万人も集まったことがある。
事前検閲で放映を許可したとされたインドネシア放送委員会もあまりの反響の大きさから放映開始後に「放映中止」を決めたことも大きなニュースとなった。
韓流ドラマ、K-POPはインドネシアでも根強い人気を得ており、今回の「ヒョンビン放送事故」も熱心な韓流ファンによって明らかになったといえる。
ちなみにCNNインドネシアはインドネシア語による番組で、インドネシア以外の国では放映されていない。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など