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米中関係中国、WSJなど米主要紙記者の取材証剥奪 米の中国人記者対応に報復
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中国外務省は18日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米3紙に所属する記者の取材証を剥奪すると発表したバージニア州アーリントンで2018年11月撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)
中国外務省は18日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米主要3紙に所属する記者の取材証を剥奪すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大や報道の自由を巡り、中国と米国の緊張が一段と高まっている。
中国外務省は声明で、WSJやニューヨーク・タイムズ(NYT)、ワシントン・ポスト(WP)の記者で年内に取材証が切れる米国人に対し、10日以内に取材証を返還するよう命じた。これらの記者は今後、中国本土や香港、マカオでの就労が禁じられる。
中国外国人記者クラブによると、少なくとも13人の記者が対象になる見通し。
さらに、相互主義の観点から上記3紙に加え、米政府が運営する国営アメリカの声(VOA)放送やタイム誌に対し、中国国内での従業員や財務状況、不動産などに関する情報を書面で申告するよう命じた。
2月に中国はWSJの論説記事に反発し、同紙の記者3人の記者証を剥奪した。中国は「アジアの病人(real sick man of Asia)」と題したWSJの論説を人種差別的だと強く批判。同紙が謝罪を拒否したことから、北京の同紙記者3人の記者証を剥奪した。
これを受けて米国は3月初旬、米国内で活動する中国国有メディア4社の記者などの数を削減すると発表していた。
中国は今回の措置について、中国人記者に対して米国が取った措置への対抗措置だと主張した。
ポンペオ米公務長官は17日の会見で、コロナウイルスの感染が拡大し、非常に厳しい状況となっている時期に、世界や中国人から情報を奪う措置だと指摘。各国の報道の自由をさらに奪う決定で遺憾だとし、中国が再考することを望んでいると語った。
*内容を追加しました。
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