欧州のコロナ危機にマクロ経済政策は効果なし
MANAGING THE CRISIS
各国政府がウイルス封じ込めの間接的影響を受けた全ての企業に対して、資金を援助することはできない。しかし銀行部門は、不良債権のリスクを大目に見れば企業に手を差し伸べられる。EUの金融当局はこうしたアプローチを積極的に促すべきだ。
これらの我慢強い融資と、好不況時のバランスを自動的に調整する社会保障制度によって、利下げよりも効果的な対策が見込めるだろう。追加の金融緩和は、消費がなかなか回復しない場合だけ行えばいい。
いずれにせよ今回のウイルス禍は、危機の到来を見据えて平時の財政政策は慎重であるべきだという教訓をもたらした。この危機には、イタリアやフランスのような国より、財政的に健全な国のほうが力強く対処できている。
政府は危機に際して果敢に行動すべきだし、行動していることを示さなくてはならない。だが今回のケースでは、通常のマクロ経済学的対策には効果がありそうにない。中央銀行や政府はその点を市民に説明し、一見して地味な公衆衛生や家計、金融システムを守る対策に取り組むべきだ。
<2020年3月24日号掲載>
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2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。