新型コロナ流行の中、勝者は結局アメリカ? サウジ対ロシア原油戦争の行方
原油相場の暴落は、サウジアラビアとロシアの双方にダメージをもたらす。「みんなで一斉に呼吸を止めて、誰が一番長く我慢できるかを競っているような状態」だと、ライス大学ベーカー公共政策研究所のジム・クレーン研究員はサウスチャイナ・モーニングポスト紙に語っている。
アメリカのエネルギー企業も、原油相場の下落に神経をとがらせている。しかし、エクソンモービルやシェブロンなど、財務面でゆとりのある大手企業にとっては、これがむしろチャンスになる可能性もある。多額の債務を抱える中小のシェール企業が破綻すれば、それを吸収して自社のビジネスを拡大できるからだ。
「全てが終わってみれば、ロシアよりアメリカの立場が強まっていると思う」と、ベルは言う。「今回のような行動でアメリカを痛めつけられると考えたのは、ロシアの計算違いだった。ロシアもいずれそのことに気付くだろう」
コロナ禍で各国の体力が奪われるなか、「原油戦争」を勝ち抜くのはどの国か。
<2020年3月24日号掲載>
【参考記事】ロシアの原油減産拒否の標的は米シェール業界
【参考記事】NY株暴落、コロナショックが巻き起こす「市場パンデミック」
2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。