新型コロナ危機のイラン、アメリカの支援申し出を拒否
Iran Rejects Trump Offer of Help on Coronavirus as Ayatollah Aide Dies
イラン第2の都市マシュハドの有名な聖廟も消毒の対象に(2月27日) WANA/REUTERS
<死者数は中国に次ぐ2位、複数の政府高官が感染し最高指導者ハメネイ師の側近が死亡するなど感染拡大はとどまる気配がないが>
ドナルド・トランプ米大統領は、新型コロナウイルス問題でイランに支援の意志を表明したが、イラン政府の当局者がこれをはねつけた。イランでは同ウイルスの感染が急速に拡大しており、3月2日には最高指導者ハメネイ師の側近が感染により死亡している。
同国外務省のアッバス・ムサビ報道官は2日、アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大をイランに対するプロパガンダに利用して、国の団結を損なわせようとしていると主張した。
メヘル通信によれば、ムサビは「イランで感染が拡大し始めてから、アメリカは反イランのプロパガンダを主導し、さまざまな手段でイラン国民の士気を低下させようとしている」と主張。彼はさらに、イラン政府はアメリカによる支援の申し出に「疑いを抱いて」おり、その裏には政治的な動機が隠されているはずだと批判。「支援は必要ない」と一蹴した。
イランは新型コロナウイルスの感染拡大で最も深刻な影響を受けている国のひとつで、同国の保健省によれば、これまでに1501人が感染。死者の数は、中国本土以外で最多の66人にのぼっている。同ウイルスは世界全体でこれまでに8万9000人を超える感染者が確認され、死者の数は3000人を突破した。
政府高官にも複数の感染者
この死者の中には、イラン政府の当局者も含まれている。2日には、公益判別会議(ハメネイ師の諮問機関)のメンバーであるモハンマド・ミルモハマディ(71)がテヘランの病院で死亡。国会議員に選出されて間もないモハンマド・アリ・ラメザニと、元駐バチカン大使のハディ・コスロシャヒも同ウイルスの感染により死亡している。
このほかにも、イラン初の女性副大統領であるマスメ・エブテカール(女性・家族問題担当)をはじめとする、複数の政府高官が新型コロナウイルスに感染している。エブテカールは感染が確認される前日に閣議に出席し、ハサン・ロウハニ大統領の近くに座っていた。
そのほかの主な感染者は、イスラム教シーア派の聖地コム選出の国会議員で、イラン国会の国家安全保障・外交問題委員会の委員長を務めるモジュタバ・ゾルヌール、コムにある医科大学の学長で同市のウイルス対策を率いていたモハマド・レザ・ガディル博士、政府の新型コロナウイルス対策を統括していたイラジ・ハリルチ保健次官などがいる。
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