最新記事

東京五輪延期

インタビュー:ディック・パウンドIOC委員「東京五輪、IOCは来年への延期を明確に示唆」

2020年3月24日(火)08時52分

 3月23日、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、7月24日から開催予定の2020年東京五輪について、IOCの前日の声明には、新型コロナウイルス感染拡大を理由に来年に延期されるとの明確なメッセージが含まれていたと指摘した。2月26日、カナダのモントリオールで撮影(2020年 ロイター/Christinne Muschi)

国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は23日、7月24日から開催予定の2020年東京五輪について、IOCの前日の声明には、新型コロナウイルス感染拡大を理由に来年に延期されるとの明確なメッセージが含まれていたと指摘した。

IOCは前日、緊急理事会後に出した声明で、東京五輪について延期も含めた対策を検討し4週間以内に結論を出すと表明していた。正式な決定はまだ下されていない。

IOC委員在任の期間が最長のパウンド氏(78)はロイターとの電話インタビューで「(延期)というのが私が得た結論だ」と説明。

「声明内のIOC専門用語を読み取れば、中止なら単に中止とするだろう。将来の計画がないからだ。従来通り(五輪を開催)するつもりならば声明をあらためて出す必要はない」と分析。

「日本の状況を見れば、首相も言及した『延期』という言葉が浮上している。4週間の猶予は恐らく、延期に向けた予備計画の策定に必要な期間だろう」とした。

同氏は、IOCが未計画の状態で東京五輪の来年への延期を発表していれば、さらなる混乱が生じていた可能性があると指摘。延期を決定する前に、日本の組織委員会や放送局、スポンサー、選手、スポーツ団体との調整が必要だとした。

「日本側と先ず協議し、開催の意思がまだあるのか確認する必要がある」と語った。

パウンド氏は、新型コロナを「6月あるいは7月までに封じ込めるのが不可能というのは明白で、年末までの終息もあまり見込めない。このため、1年間の延期は最善の臨時対応策に思える」と述べた。「誰も五輪の中止は求めていない」と続けた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・全米の新型コロナウイルス感染3万3000人超える 3州が新たに外出禁止令
・インドネシア首都は「非常事態」? 新型コロナめぐり在留邦人に緊張と混乱
・新型コロナ対策、「日本式」の特徴と評価


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジルCOP30議長、米のパリ協定再離脱の影響懸

ワールド

韓国、務安空港のコンクリート構造物撤去へ 旅客機事

ワールド

中国の太陽光・風力発電の新規導入容量、24年も記録

ワールド

トランプ政権、沿岸警備隊の女性トップ解任 DEI政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 8
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中