最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス感染拡大の元凶? 信者24万人の「新天地イエス教団」とは

議論を呼んだのは土下座より時計?

怒号の飛ぶ中行われた記者会見で、教主のイ・マンヒが土下座をするシーンは、日本でも報道されたためご覧になった方もいるかもしれない。しかし、韓国で議論を呼んだのは土下座ではない。教主の左手に輝く金の腕時計だった。

通称「朴槿惠時計」と呼ばれるこの時計は、文字盤にはハングルでしっかり「박근혜」と朴槿惠前大統領の名前が刻まれている。朴槿惠前大統領といえば、言わずと知れた韓国歴史上初の女性大統領でありながら、弾劾制度が導入されてから韓国歴史上初めて罷免された人物でもある。

記者会見が中継で放送された直後から、この時計に注目が集まり、政界では新天地と特定の政党の癒着関係があったのではないかと疑いの声が上がった。新天地イエス教会側は記者会見から2日後「ある信者から以前プレゼントされたものだ」「教主が愛用している時計で政治とは無関係」と弁明を発表した。

しかし、教主イ・マンヒが以前「(朴槿恵前大統領が所属していた)セヌリ党(現:未来統合党)という党名は私が命名した」と話していたと暴露する元幹部も現れた。今年の春には統一選挙が控えている韓国では、今の時期何かにつけて政治問題と結び付けがちだが、癒着疑惑はさらに深まるばかりだ。

さらに、イ・マンヒが記者会見の退出の際、カメラに向かって親指をあげる、いわゆる「Goodサイン」をしたことから、反省の色が見えない、との批判が上がった。一方では「このポーズは新天地イエス教会のサインであり、信者を鼓舞しているのではないか」など、会見後数日が過ぎた今でも様々な憶測が飛び交っている。

「新天地イエス教会の信者」めぐる魔女狩りも

政治と宗教団体の癒着と共に、芸能界との癒着もよく耳にする噂だ。新天地が注目を浴びるようになり、ネット上では芸能人の信者探しが始まり、疑わしいとされる有名人の名簿一覧が勝手に作成され出回っている。

芸能人はイメージ管理も職業のうちと言われるように重要視されている。そのため、このような噂は早く払拭しなければならない。歌手のIVYは、自身の名前が載った名簿をキャプチャーし、否定と怒りのコメントと共にSNSにアップした。既に削除済みだが、ファンやフォロワーから広く拡散されている。俳優のイ・ドンウクもこの信者疑惑名簿の被害者だ。所属事務所スターシップ・エンターテインメントは、公式文書を発表し教団と無関係であることを公にした。

IOI出身の歌手チョンハは、イタリアのミラノで行われたファッションウィークでの撮影終了後、一緒に同行していたイタリア人スタッフの一人がコロナ陽性だったため、症状はないものの検査を行い結果陰性だった。しかし、万が一の事も考え、疾病管理本部の要請によって自宅隔離を行っていた。ところが、ここから噂が発生し信者疑惑がかけられてしまう。チョンハは、動画生配信を自宅から行い、「自分を含め全てのスタッフはあの宗教ではない」と、はっきり断言した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米追加関税の除外強く求める、産業・雇用への影響精査

ワールド

日本も相互関税対象、自民会合で政府見通し 「大きな

ワールド

日中韓が米関税へ共同対応で合意と中国国営メディアが

ワールド

ロシアと米国は関係正常化に向け一歩踏み出した=中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中