韓国、新型コロナウイルス感染拡大の元凶? 信者24万人の「新天地イエス教団」とは
映画やドラマの題材になるカルト
韓国では、新興宗教のことを「사이비(サイビ)」と呼ぶ。もともとは「似て非なるもの、まやかし、ニセモノ」のことを指すが、今ではサイビと言えば新興宗教のことを指すことが多い。しかもカルトのようなエセ宗教というイメージだ。
日本よりも熱心な信者が多い韓国では道ばたで勧誘活動に遭遇することも多い。筆者も以前韓国に在住していた頃には、よく声を掛けられた。一度、出入国管理局でビザ手続きを行うために長時間座って待っていると、「隣の教会から来ました」と女性が横の席に座って勧誘が始まった時にはさすがに驚いた記憶がある。また、明洞などの観光地や地下鉄で、一人大きな十字架を持って「キリスト教を信じなければ地獄へ落ちる」など大声で話し歩いてる人などを見かけることもあった。
そんな韓国では、宗教は日本よりももっと身近なものであるがゆえ、カルト的宗教の恐怖も近くに存在するようだ。
韓国映画やドラマでも、この手の恐怖は度々登場している。昨年公開された『サバハ』は、主演のイ・ジョンジェが演じるパクが、仏教系新興宗教のことを調べて行くうちに、裏に隠された秘密を暴くというミステリーである。パクは、怪しい宗教を捜査する探偵のような職業で興味深く、このような職業も存在するのかと疑問に思ったが、もちろん、これはフィクションだ。だがこのパクの役は、新興宗教の反社会性を暴いた宗教問題研究家タク・ミョンハンという実在の人物をモデルにしたことで知られている。
ちなみにこの映画『サバハ』は、公開時に新天地イエス教会から抗議を受けている。劇中、イ・ジョンジェ演じるパクのセリフの中で、韓国内の異端新興宗教を説明するセリフがあるのだが、ここで新天地イエス教会を例に出しているため、新天地イエス教会側は「教会を名誉棄損した」と主張。結局、公開時にはこのセリフ部分をアフレコで変更し封切られることとなったという。
また、『新感染:ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督が制作した、2014年公開アニメ映画『我は神なり』は、小さな村にできたインチキ教団にのめり込む村人たちを、トラブルメーカーで嫌われ者の主人公が救おうと奮闘する話だ。日本でも公開済みだが、後味の悪い映画として一部韓国映画ファンの間で話題となった。
コロナのせいで、今世界は混乱し始めている。こんなときこそ、信者を増やしたい宗教団体は人々の不安な気持ちを利用して、勧誘活動を活発に始めるだろう。何の宗教を信じるか、または信じないかは個人の自由である。しかし、混とんとした世の中だからこそ、何を信じるべきか冷静に考え直す必要がある。