最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス感染拡大の元凶? 信者24万人の「新天地イエス教団」とは

2020年3月7日(土)18時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

新型コロナウイルス感染拡大の元凶とされる新天地イエス協会教会のイ・マンヒ教主。腕には金色の時計が見える Yonhap News - REUTERS

<とうとう感染者7000人を突破した韓国のコロナウイルス禍。国家の非常事態を起こしたのは、信心深い国民性で信者を増やした新興教団だった>

全世界で新型コロナウイルスの拡散は勢いを増し、いまだ収まる気配はない。韓国ではついに感染者が7,000人を超えてしまった(3月7日夕方時点)。増え続ける感染者の数字と終息のめどがなかなかつかないなか、韓国国民たちの苛立ちはひとりの感染拡散者とある宗教に向けられている。

感染者の行動は丸裸に

韓国では、感染拡大が心配され始めた頃から、個人情報ともいえるほどの詳しい感染経路公開を早い段階で行っていた。その中で、"31番目の感染者"と言われている61歳の女性が、2月10日の時点で新型コロナウイルス感染の症状が見られたものの、入院していた病院を抜け出して宗教活動を続けていた。これが結果的に大邱市での爆発的な感染に繋がったとされている。その宗教というのが、今韓国で注目を集めている「新天地イエス協会」だ。

新天地イエス教会は、1984年教主であるイ・マンヒによって創設された。"イエス"とはいうものの、一般的なキリスト教とは違い、ヨハネの黙示録を中心に聖書を勝手に解釈し、教団本部のある京畿道果川市を"聖地"と位置づけ、韓国では代表的な新興宗教だと認識されている。

いつか最後の審判がやってくると信じており、天国に行くための席を獲得できる点数稼ぎのため、信者は他の宗教信者を改教させ、信者を増やしているという。今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、新天地イエス教会の礼拝が、教徒同士が床に隣り同士に近い状態で座るため、感染しやすい状況ができたといわれている。

教団信者からの感染が確認された後、拡大を阻止するため大邱市など教団施設がある自治体が信徒の名簿提出を求めたが、教団側は提出を遅らせたり、虚偽の内容を報告したり、さらに禁止された集会を教団施設外でこっそり行っていたなど、さまざまな問題が噴出。世論による批判が集中してきたため、新天地イエス教会側は3月2日、教主が教団本部前で記者会見を行った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相、あす午前11時に会見 予算の年度内成立「

ワールド

年度内に予算成立、折衷案で暫定案回避 石破首相「熟

ビジネス

ファーウェイ、24年純利益は28%減 売上高は5年

ビジネス

フジHD、中居氏巡る第三者委が報告書 「業務の延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中