最新記事

女性問題

韓国史上初、地上波ニュースのメインアンカーに女性 男性優位社会からの脱却進むか

2020年2月28日(金)21時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

アンカー、キャスターやアナウンサーとどこが違う?

そもそもアンカーとアナウンサー、またキャスターは何が違うのだろうか? 日本では、アンカーという言葉よりもアナウンサーやキャスターの方が馴染み深いかもしれない。

「アナウンサー」とはその名の通り、アナウンスを行う人のことをいう。正確に情報を伝えることが主だった仕事といえる。「キャスター」は、Newscasterの略で、ただニュースを読むだけでなく、意見や独自の解説などを織り交ぜて伝えることが多い。

そして「アンカー」は、さらに影響力のある意見を述べ、独自取材を行ったり、集まった資料をまとめ上げたり、総合監督のような存在でもある。つまり、司会を務めつつ番組作り全体にも大きく携わっているため、それだけ重要な役回りといえる。

ここ数年フェミニズム意識が根付いている韓国で、そんな番組の顔ともいえるアンカーに今まで女性がいなかったことは驚きだった。海外でも韓国の女性アンカー誕生は次々と報道されている。

各国メディアが、イ・ソジョンさんキャスター起用を伝える

世界三大通信社の一つであるAFP通信では、抜擢が発表された後「Breaking news and barriers: South Korea's first female anchor(報道の世界とバリアを打ち破る:韓国初の女性アンカー)」というタイトルで特別記事を報道した。AFP通信は記事の中で、イ・ソジョンさんを「男性中心の文化が一般的な韓国社会で、数十年間男性の所有物だったアンカーを奪い取った"開拓者(trailblazer)である」と称している。

さらに、イギリスの日刊紙「The Times」でも、「South Korea welcomes its first female news anchor(韓国が最初の女性アンカーを歓迎する)」と言うタイトルの記事を発表している。続いてフランスの日刊紙「Le Figaro」や、シンガポールの日刊紙「The Straits Times」など多くの報道機関が取り上げ、韓国の男性アンカー社会において、イ・ソジョンさんの起用は今後の大きなターニングポイントになるだろうと伝えた。

イ・ソジョンさんがメインアンカーに就任してから、すでに約3カ月が経とうとしている。去年11月任命以後 『ニュース9』の視聴率は平均9.6%から11%に上昇し、成果が見えだしてきている。その間、中央日報系列のケーブルテレビ局JTBCが看板番組『ニュースルーム』の週末版にハン・ミンヨンさんを単独女性アンカーとして大抜擢した。これも、イ・ソジョンさん効果と言っていいかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中