最新記事

女性問題

韓国史上初、地上波ニュースのメインアンカーに女性 男性優位社会からの脱却進むか

2020年2月28日(金)21時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国KBS夜9時の看板ニュース番組 『ニュース9』のメインアンカー、イ・ソジョンさんが新型コロナウイルスの感染状況について伝える。2月28日の放送よりキャプチャ

<新型コロナウイルスの感染が止まらない韓国。緊迫する状況をゴールデンタイムに伝えるKBSニュースのメインアンカーは女性だ>

男5女3、男先女後、男重女軽......。これらが何を示す単語かご存じだろうか? 実はこれまでの韓国ニュース番組のメインキャスターを表す言葉だ。その意味は、「男性メインキャスターが50代のベテラン。女性がアシスタントキャスターとして30代以下」「男性が先に発言し、その後に女性キャスターがアシストする言葉を付け足す」「男性アンカーが重要なトップニュースを読み、その後で女性アンカーが軽いほのぼの系のニュースを読む」
これが今までの韓国のニュース番組のセオリーとされてきた。

ところが、昨年11月にこれをひっくり返す発表がされ、今までの暗黙のルールが打ち壊されつつある。日本のNHKに相当する韓国の公共放送局KBSが、夜9時の看板ニュース番組 『ニュース9』11月25日放送分から、メインの単独女性アンカーとしてイ・ソジョンさんを抜擢したのだ。メインアンカーに女性が起用されるのは韓国の放送史史上、初の快挙である。

今回、メインアンカーとして起用されたイ・ソジョンさんは現在44歳。大学卒業後ケーブル放送局に就職したが、その後退社し大学院に進学。2003年KBSに再就職した時には27歳だった。同期入社社員の中でも一番の年長者だったという。入社後は、社会部、文化部、国際部、経済部と幅広く活躍し、国際部時代には、メキシコのサパティスタ民族解放軍の指導者マルコスの単独インタビューに成功し「2006年度 今年の女性記者賞」(韓国女性記者協会選定)を受賞し注目を集めた。

そんな敏腕記者のイ・ソジョンさんが、「ニュース9」では番組冒頭から登場、女性では珍しいパンツスーツで挨拶すると、今までスーツ姿の男性キャスターを見慣れた視聴者からは、慣れるまで戸惑ったという声もあったという。

しかし、日が経つことでそんな声も少なくなり、現在韓国で感染が急増しているコロナウイルス関連のニュースでも、落ち着いた口調で的確に報道するイ・ソジョンさんの姿に高評価が集まっているようだ。幸か不幸か、アンカー就任後、このような緊迫した速報が次々と入ってくるという状況で、彼女の器量が発揮される形となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ギャップ、売上高見通し引き上げ ホリデー商戦好発

ビジネス

気候変動ファンド、1―9月は240億ドルの純流出=

ワールド

トランプ次期米大統領、ウォーシュ氏の財務長官起用を

ワールド

米商務長官指名のラトニック氏、中国との関係がやり玉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中