新型コロナウイルス禍でロシアがフェイクニュースを拡散する?米軍が監視
Military Tracking Russia News Outlets for Coronavirus Disinformation
ロシアは新型コロナウイルス感染に対する恐怖を利用したい(写真はニューヨークの地下鉄) Nick Zieminski-REUTERS
<国防総省がロシア政府系のソーシャルメディア・アカウントを監視・追跡した機密扱いの報告文書を入手>
ニューズウィークが入手した米国防総省の文書によれば、米軍はロシアが新型コロナウイルスに関する虚偽情報を広めようとした場合に備えて、ロシア政府が運営する(またはロシア政府が発信元の)アカウントを監視していることがわかった。
同文書によれば、ロシアの主要メディアのツイッター・アカウントで1月28日から2月3日の間に最も多く使われたハッシュタグが「コロナウイルス」だった。WHO(世界保健機関)はソーシャルメディア上に新型コロナウイルスに関する情報が溢れていることを懸念。虚偽情報の拡散は効果的な対応の障害になるとして、「インフォデミック(根拠のない虚偽情報が大量に拡散されること、WHOの造語)」を減らすための取り組みを行っている。
本誌が入手した文書からは、秋に大統領選を控え、米軍がソーシャルメディアの監視を行っていることが明らかになった。軍のサイバー司令部は、ロシア政府が2020年の米大統領選において、2016年の時に匹敵するレベルの介入を行う可能性を見込んでいる。
ツイッター上のロシア情報を追跡
パワーポイントで作成され、「機密扱い」と注記されているスライドには、米北方軍がツイッター上のロシア情報を追跡した結果が示されている。追跡・監視の対象はスプートニク、RT(ロシア・トゥデー)、ロシア国防省系のテレビ局「ズベズダ」、およびこれらのメディアの各国語版(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、トルコ語)などの各種メディアで、ツイート数や「いいね!」数が多いアカウントや最もよく使われているハッシュタグ、キーフレーズ、最も多くの反響があった記事などが列挙されている。
スライドの1枚には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が腕を前方に伸ばして開き、ツイッターやYouTube、フェイスブックなどのソーシャルメディアを通じてロシア政府のメッセージをばら撒いているようなイラストが描かれている。同文書はアメリカの複数の当局者(匿名希望)が入手し、本誌に提供した。
北方軍の報道官は声明を出し、「文書は北方軍の現在の評価、取り組みや作戦を示すものではない」と説明。「これらの文書から何であれ結論を導き出すのは、適切ではない」とした。