トランプの「無罪判決」を生んだFOXニュースの大罪
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スーパーボウル前にも独占インタビュー番組が(ワシントンDC) MARIO TAMA/GETTY IMAGES
<視聴者の94%が白人、93%が「保守的」または「非常に保守的」──民主主義の本当の破壊者はプロパガンダメディアに成り下がった右派テレビ局>
大統領に立候補する前、ドナルド・トランプはNBCのリアリティー番組『アプレンティス』への出演で知られた不動産王だった。彼は誰かを代弁することも、何かを象徴することもなかった。しかし2016年の勝利後は、「トランプ・カントリー」がトランプ支持者の多い田舎を意味する略語になっている。
もっとも、トランプに責任があるわけではない。結局のところ彼が政治的に力を持つ以前から、この地域にはそのような価値観を持つ人々がいたのだ。では、大統領の罷免を支持するのがたった48%、という責任は誰にあるのか。
答えは簡単だ。アメリカの郊外でテレビのあるレストランやジムに入ると、たいていあるチャンネルがついている。FOXニュースだ。トランプ・カントリーとは、つまりFOXニュース・カントリーのことである。
FOXニュースの視聴者は人種、イデオロギー、教育レベルにおいて他のケーブルネットワークの視聴者と違う。CNNがニールセン・メディア・リサーチのデータを分析したところ、FOXニュースの視聴者は94%が白人。93%が「保守的」または「非常に保守的」であり、全体的に教育レベルが低い。これがトランプの支持母体である。
FOXニュースは極端な右派の政治的主張と解説で構成されている。ニュースと言えるものはほとんどない。にもかかわらず2002年以降、アメリカで最高視聴率を誇るケーブルニュースチャンネルになっている。この事実こそが、今の有害な政治環境と大統領が無罪放免になったことを説明している。
弾劾裁判の一連の報道を通じて、FOXニュースの司会者は一般市民、さらにはトランプ弁護団が繰り返す話題を垂れ流し、積極的に大統領を擁護した。2019年1月以来、トランプ弁護団の4人のメンバーは360回以上もFOXニュースに出演している。
歴史的に、アメリカのメディアは権力監視と真実の裁判官として重要な役割を果たしてきた。しかしFOXニュースがプロパガンダメディアに成り下がり、トランプが批判的な報道を「フェイクニュース」と呼んだおかげで国民の多くは真実を知らない。
結局のところ、民主主義を破壊したのはトランプではなくFOXニュースなのだ。
<2020年2月18日号掲載>
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