森林火災で変わるか、温暖化否定のオーストラリア
Australians Are Ready to Break Out of the Cycle of Climate Change Denial
オーストラリアの夏はまだ数週間続く。来年の夏は涼しいかもしれないが、排出ガスを削減する早急な対策が講じられなければ、温暖化の影響は時間の経過と共に加速度的に拡大する。これは「ニューノーマル(新常態)」ではない。通常な状態の終わりを意味する。
世論の怒りの高まりは、様々な形で政治への圧力となる。スコット・モリソン首相への支持は、世論調査で低下の兆しを見せている。次回の総選挙はまだ当分先の話だが、こうした傾向が政権を不安定にさせ、保守的で温暖化に否定的な勢力は下火になるだろう。
オーストラリアにも希望はあるが、それは恐ろしいシナリオだ。ニューズ・コーポレーションは現在もメディア界で権勢を奮い、良心の呵責に苛まれる人々を抑えることに必死な有力政治家を支配している。しかし、怒りに燃える世論との対立は深まりつつある。もしかしたらオーストラリアは、温暖化の深刻な被害を認識する世界で最初の国になるかもしれない。世界はオーストラリアにあまり希望を持っていないかもしれないが、長引く被害に苦しむ人々の強い憤りを私は感じる。2020年こそ、温暖化対策に否定的な人々がその間違いに気付く年になってほしい。
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