最新記事

対談

トイアンナ×田所昌幸・師弟対談「100年後の日本、結婚はもっと贅沢品に」

2020年1月8日(水)15時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真:遠藤 宏

<恋愛・就活ライターとして活躍するトイアンナ氏が、論壇誌『アステイオン』に寄稿し、日本の恋愛・結婚が未来にどう変わるかを予測した。一夫一婦制の行方、結婚観の世代的パターン、出産の「天然物」と「養殖物」......>

年末に刊行された論壇誌『アステイオン』91号の特集「可能性としての未来――100年後の日本」の寄稿者の一人であるトイアンナさん(恋愛・就活ライター)と、アステイオン編集委員会の委員長で特集責任者の田所昌幸・慶應義塾大学法学部教授。
asteion91_cover200.jpg
対談のために集まってもらったが、そもそも二人はどういった関係なのだろうか。国際政治学者と恋愛・就活ライターは、意外な組み合わせに思えるが――。

◇ ◇ ◇

田所 決して怪しい関係ではありません(笑)。アンナさんの読者には意外かもしれませんが、実は、アンナさんは学生時代に私のゼミ生でした(編集部注:慶應義塾大学法学部の出身)。アンナさんがウェブメディアに書かれているコラムや著書などから、私のゼミ出身者であると分かるものなんでしょうか?

アンナ 田所先生のことは敢えて書いていなかったので、今回、ここで初めて明かしました。ところで、『アステイオン』91号の特集の意図は何だったんですか?

田所 毎年年始めには「今年はどうなるか」というのは人々の話題になります。また、学問の世界でも近未来をよく語ります。しかし結局、現在の傾向を将来に投影するだけで想像力があまりなく、しかも1年先の予測ですらだいたいはハズレるんです。

それだったらいっそのこと100年ぐらい長いスパンで、いろいろな可能性を考えてみたら、しがらみから自由になれて、知的な意味で冒険的じゃないかと思ったのです。

アンナ 皆さん実際に冒険的に書いてくださいましたか?(編集部注:特集には総勢66名が寄稿している)

田所 それはもう、読者の皆さんに読んでくださいということしかないですね(笑)。

個人的に面白かったのは、明治大学の日本文学史の大家の張競先生の「文明の出直し・月面の日本基地より」です。これは完全にSFです。地球と連絡が取れなくなって、月の基地から行ってみると地球がボロボロになっていて、もう一度文明を一からやり直さないといけないという話です。しかし、再建が語られているのですから、ディストピアではないかもしれません。

アンナ 今回の執筆者の選出は、先生がされたんですか?

田所:(編者である)サントリー文化財団と相談しながらです。この本の元ネタは100年前に書かれた『日本及日本人』という雑誌の特集「百年後の日本」なのですが、300人以上の原稿を集めているんです。それに比べると規模が小さいのですが、サントリー文化財団と関わりのある、各方面で活躍されている人から集めました。

ただ、そうすると女性と若い人がとても少ないので、意識的にジェンダーバランスを考えました。そこで若手ライターとして活躍されており、よく存じ上げているアンナさんを候補に挙げました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中