英国から出ていくには? 英総選挙後に「カナダ移住」検索が増え、貧困者への寄付急増
選挙結果を受け抗議の声を上げる人々...... Lisi Niesner-REUTERS
<英国の総選挙で保守党の圧勝の結果を受け、「カナダ移住」などの検索ワードが英国で急増したことが明らかになった......>
「カナダ移住」検索量は普段の49倍に
12日に行われた英国の総選挙で、ボリス・ジョンソン首相率いる保守党が1987年のマーガレット・サッチャー政権(当時)以来の圧勝を果たした。この選挙結果を受け、保守党の勝利を望んでいなかった人たちによる、「カナダ移住」などの検索ワードが英国で急増したことが明らかになった。一方で、「世の中をよくするために慈善活動をがんばろう」と呼びかける人も少なくなく、フードバンクには食料品の寄付が押し寄せた。
英インディペンデント紙は、検索サイト大手Googleからのデータだとして、総選挙が行われた12日の夜に出口調査の結果が発表され始めると、英国脱出を考えて検索を始める人が増えたと報じた。移住先として検索されたのはカナダが一番多かったが、オーストラリアやフランス、アイルランドもよく検索されたという。
投票は12日の夜10時に締め切られたが、それから8分後には移住先に関する検索が急増。保守党の大勝が公式に確認された翌朝8時16分にピークに達した。
検索トレンドを追跡しているオンライン・ベッティング(賭け)のサイトOLBGの最高経営責任者リチャード・モファット氏はインディペンデントに対し、「カナダ移住」の検索量は普段、月1700件または1日55件ほどだと説明。しかし総選挙の結果を受けて、最大で月8万3300件、1日にすると2738件と、通常の49倍になる可能性があると明かした。
国外脱出をもくろむこうした検索ワードの増加は、例えば米国では2016年にドナルド・トランプ氏が大統領選で勝った直後や、同年に英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた直後にもみられた。
選挙敗北のショックは寄付や慈善活動で乗り切る?
インディペンデントは前述の記事の他にも、「英国から出ていくには」という記事を選挙の直後に掲載した。同紙は、ジョンソン首相が過去に人種差別的だとされる発言をしたことにも触れ、今回の選挙結果を受けて、有色人種の人たちが英国脱出を考えていると報じた。
インディペンデントは一方で、「国外に脱出する手段を持たない人たちのことも考えるべき」とソーシャル・メディア(SNS)で訴える人たちもいると紹介した。物事をもっとよくするために、あえて英国に残ろうという人たちだ。こうした人たちは、変化を起こすために、自分が住む地域の政党に加わるなどを提案する他、ボランティア活動をしたり、寄付をしたりするよう呼びかけているという。