ホスピスなのに最期は孤独死!?
For-Profit Hospices Fail to Visit Dying People in Their Final Days: GAO
死は安らかに迎えたい Obencem/iStock.
<ホスピス(緩和ケア)なのに肝心の死に際はケアなし──営利目的のホスピスでそんな実態が浮かび上がった>
営利目的の民間ホスピス(緩和ケア)の多くが、在宅の患者が亡くなる前の3日間に訪問ケアを行っていなかった。米会計検査院(GAO)が最近発表した報告書で判明した。こうした業者の数は80にのぼったという。
GAOの調査は、米保険福祉省内の部署「メディケアおよびメディケイド・サービスセンター(CMS)」から2017年に給付を受けたホスピス業者を対象としたもの。患者の痛みの緩和程度など、ケアの質については営利ホスピスと非営利ホスピスの間に大きな違いはなかった。だが営利ホスピスでは、亡くなる直前に患者を退院させていた施設が450以上あった。
ホスピスについて問題が明るみ出たのはこれが初めてではない。今年初めに米観察総監室(OIG)が実施した全米調査でも、スタッフの資格審査を怠るなど深刻な不備があるホスピスが全体の18%に達した。
GAOの報告書によれば、ホスピスを退院して在宅ケアに切り替えた患者が亡くなるまでの72時間に、正看護師や医師が1度も患者を訪問しなかったケースは、民間では80団体に達した。一方、非営利団体の場合は3団体にとどまったという。
営利、非営利を問わず、ホスピスは大半の対象患者を訪問し、終末期のケアを提供していた。しかし、訪問しなかったホスピスでは、死を待つ患者少なくとも800人とその家族が放置されたという。
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在宅でも重要な緩和ケア
「自宅で死を待つ患者に対するホスピスからの訪問は、質の高いケアを提供する上で不可欠とされている」と、GAOは述べる。「こうした訪問は、感情面をサポートし、死の兆候や死に至る経過について患者の家族があらかじめ知識を深めておくためにも重要だ」
亡くなるまでの1週間に、ソーシャルワーカーや聖職者、宗教カウンセラーを1度も派遣していなかった民間施設は55にのぼり、対象の患者は600人以上に達した。
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ベビーブーム世代が高齢になる中、ホスピスに対するメディケア(高齢者医療保険制度)の支出額も、ホスピスを利用するメディケア受給者の数も急増している。
GAOの指摘によると、「メディケアおよびメディケイド・サービスセンター(CMS)」では、検査官に対し、ホスピスのサービスの質に関する情報を記録するよう指導していない。これでは、ケアの質が劣るホスピスへの指導が行き届かない恐れがある。また、問題のある業者に対してCMSが取れる懲罰措置は、医療費払い戻し制度そのものからの追放しかない。これは、ほとんど場合、違反の中味と比較して罰が重すぎる。