それでも僕らがトランプを支持する理由
YOUNG TRUMP SUPPORTERS
保守派の学生団体の歴史は古い。1960年にウィリアム・F・バックリーが設立した「ヤング・アメリカンズ・フォー・フリーダム(YAF)」も、全米の大学に支部がある。
YAFは標準的な保守主義の「教義」を述べ伝えることを目的として設立された。守るべきは自由市場と自由貿易、小さい政府、国際問題へのアメリカの積極的関与への支持。つまりYAFはロナルド・レーガン元大統領流の「真の保守主義」を広めようとしており、それ故にYAFの出身者の中には、2016年の大統領選におけるトランプの主張を受け入れ難いと思った者もいた。
トランプは「筋金入りの保守主義者」ではない。共和党内に絶対にトランプを認めない人々が常に少数いるのはそのためだ。だが多くの若い有権者たちは、正しい保守的政策かどうかなど気にしない。YAFの会員数は2016年以降、5%増加した。
かつてレーガン支持を盛り上げたのは、自由市場経済を信じる気持ちとソ連への対抗心だった。だがカークも認めるとおり、今の若いトランプ支持者を駆り立てる特定のテーマはない。トランプの魅力は何より、自分が言いたいことを言ってしまう点だ。
ポリティカル・コレクトネスばかりが叫ばれて息苦しい(特に大学においては)この時代、「政治的に正しくない」トランプに留飲を下げ、解放感を感じる人は多い。「トランプは愛国的でアメリカ重視で、アメリカ人精神を取り戻そうとしており、それを隠そうとしない。そこがいい」と、ターニングポイントUSAの元メンバーであるブラウンは言う。
古いやり方にとらわれないトランプ流も若い支持者を引き付ける。ブラウンはコロラド州の保守的な家庭に育った。両親は「小さい時から自分自身の意見を形成すること」を重視していたという。トランプがツイッターを多用している点についてブラウンは、「支持者と直接、コミュニケーションを取るための手段だ」と評価する。「みんなすごくいいと思っている」
左派は「正気を失っている」
この記事のために話を聞いた若いトランプ支持者のほとんど全員が、そのむき出しの愛国主義を高く評価していた。「トランプはアメリカを愛している。そこがいい」と言うのはテキサス州立大学の学生、キーリン・ボリン(20)だ。ボリンには2つの人種の血が流れていて、シングルマザーである母親に育てられた。先にトランプに関心を持ったのは母だった。「母はいつも、アメリカは1つの企業みたいなものだからビジネスマンに運営を任せたほうがいいはずだと言っていた」