米中ロの歯止めなき核軍拡時代まであと2年
Russia Prepares Weapons 'No Other Country Has,' U.S. Says It 'Must Address'
音速の20倍のスピードで標的に達するという超音速飛翔滑空兵器「アバンガード」の発射実験(露ヤースヌイ宇宙基地、2018年12月26日) RUSSIAN MINISTRY OF DEFENSE
<戦略兵器削減条約(START)が失効する2021年以降の「自由な」軍拡時代に備え、米ロは軍縮条約を破棄し、軍縮のレトリックを弄ぶだけ>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、最新鋭兵器の開発など軍の偉業を称えていることに、アメリカが警戒感を募らせている。
モスクワの大クレムリン宮殿では11月6日、プーチンは、国にとって最も重要なのは「ロシアと国民を国内外の脅威からしっかりと守ること」だと語った。「陸軍と海軍には高度な備えがあると証明されているが、今後さらに防衛能力を増強し、ほかのどの国も保有していない、極超音速やレーザーなど最先端技術を活用した兵器を配備していく」
これは誰かに脅威を与えるためのものでもない、とプーチンは強調した。「我々には、軍縮を推し進めるために最善を尽くす用意がある。これらの新型兵器は、我が国の安全を確保するためだけのものだ」
アメリカのABM脱退が皮切り
ロシアとアメリカは長年、より破壊力の大きな新型兵器の開発を通じて世界を危険にさらしていると、互いを非難してきた。両国政府は冷戦中になんとか敵対関係を克服しようと、複数の軍縮協定を締結したものの、21世紀に入って再び関係が悪化するとそれも破られるようになった。
まず2002年、アメリカが弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から脱退。米国防総省は、世界各地にさまざまなミサイル迎撃システムを配備するようになった。プーチンはこれを、ロシアの安全を揺るがす世界的なミサイル防衛網の構築に向けた動きと受け止めた。プーチンは2018年3月に一連の新型兵器の導入を発表した直後、MSNBCとのインタビューの中で、アメリカのABM脱退が「軍拡競争のはじまり」だったと振り返った。
ロシアが2018年3月に発表した新兵器には、大陸間弾道ミサイル「RS-28サルマト」や極超音速飛行滑空兵器「アバンガード」などがある。アバンガードはICBMに搭載可能で、音速の20倍での飛行が可能だという。このほかには、同じく極超音速の空中発射弾道ミサイル「Kh-47M2キンジャール」や、後に導入された海上発射型巡航ミサイルの「3M22ツィルコン」がある。
こうした全ての兵器(さらに新型原子力魚雷「ポセイドン」や原子力推進式巡航ミサイル「9M730ブレベストニク」、レーザー兵器「ペレスヴェート」など)は、既存の優れた防衛システムに対しても、そして未来の防衛システムに対してさえも「無敵」だと言われている。中国も同様の兵器開発を進めており、警戒感を募らせるアメリカもこの分野の開発を積極的に進めるようになっている。
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