トルコ、シリアの親米クルド人武装勢力SDFへの攻撃継続 民間人が双方で15人死亡
米共和党の一部議員は9日、トランプ大統領のシリア政策を厳しく非難。リンゼー・グラム上院議員はトルコに対し「壊滅的」制裁を科すことを計画していると述べ、民主党のクリス・バンホーレン上院議員とともに、トルコへの制裁案を明らかにした。
共和党の下院議員グループも10日、同様のトルコ制裁法案を提出した。
こうした動きに対し、トルコのチャブシオール外相は「われわれに対して何らかの措置が講じられれば、その報復として同様の措置を講じる」と述べた。
国連安全保障理事会は10日、英仏独のほか、ベルギーとポーランドの要請を受け、非公開会合を開催。共同声明で「シリア北東部での武力攻撃によりこの地域全体の安定が損なわれ、市民の苦しみが増すと同時に、さらに多くの難民が発生する」とし、トルコに対し攻撃を停止するよう呼び掛けた。
米国のクラフト国連大使は会合後、シリア北東部のクルド人勢力に対する攻撃で、脆弱な人々が守られなかったり、身柄を拘束されているIS戦闘員が拘束を解かれたりした場合、代償を払うことになると警告。ただ具体的には明らかにしなかった。
安保理は米国が草案を作成した決議文について討議しているが、現時点では合意は得られていない。
フランスのルドリアン外相は、ISと戦うために30カ国以上が参加して設立された「反イスラム国連合」の緊急会合の開催を呼び掛けた。
トルコは今回、シリア北部に「安全地帯」を設置し、トルコ国内にとどまるシリア難民を帰還させるため、同地域を支配するクルド人勢力の排除を目指し軍事作戦を開始した。
欧州連合(EU)など主要国の間からは、内戦が続くシリアの情勢がさらに悪化し、混乱に乗じてISの捕虜が逃亡するリスクがあると懸念の声が上がっている。
エルドアン大統領はこうした批判に対し、EU諸国がトルコの作戦を侵略と見なすのであれば、トルコにとどまる約360万人のシリア難民をEU域内に移動させると反発した。