ペンス米副大統領演説と中国の反応を読み解く
4.知財権と我が国の国民のプライバシーおよび国家の安全を守るために、アメリカはファーウェイやZTEなどの違法行為を阻止するために世界各国の盟友たちに北京の5Gネットワークを使うなと警告してきた。
(筆者注:2019年4月3日に米国防総省の諮問委員会が発表した報告書「5Gエコシステム:国防総省に対するリスクとチャンス」では、「アメリカは5Gにおいて中国に敗けている」と認めている。この衝撃が今トランプ政権を突き動かしている。)
5.中国政府は中国人民の宗教の自由を圧迫し、100万人のウィグル・ムスリム(イスラム教徒)たちを監禁・迫害している。そのため先月、トランプ大統領は中国の監視等に関わる公安部門と8つの企業に制裁を加えた。
(筆者注:トランプ政権は今年10月7日、中国の監視カメラ大手ハイクビジョンや公安機関など28団体・企業をエンティティー・リストに追加した。その企業の中には中国のAI国家戦略の指定企業BATISの中のアイフライテックやセンスタイムが入っている。特にセンスタイムはAI顔認証に関して世界のトップに躍り出た企業だ。)
6.台湾は中華文化における民主と自由の灯台の一つだ。アメリカは、より多くの武器売却等によって台湾を支える。香港も数百万の民衆が自由と民主を求めてデモを行っている。香港民衆の権利は1984年の「中英共同声明」によって明らかにされている。アメリカは香港市民のためにメッセージを発し続ける。
7.それでもなお、トランプ大統領は、米中貿易協議が合意を見ることを希望している。われわれは、新しい段階において、中国がアメリカの農業に関して支持し、かつ今週チリで行われるAPECで両首脳が協議書に署名できることを希望している。
演説は以上の骨子の2倍は続くが、中国関係に関して、一応、ここまでにしておこう。
誰でもが「えっ?」と思うのは「7.」だろう。
ここまで強気で勇ましく中国を非難して、聴衆をスカッとさせておきながら、突如、まるで「米中友好」を支持するかのようなメッセージを発するとは、何ごとか?
中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」も「えっ?」「なに、これ!」と驚いている。
それを読み解く前に、勇ましい外交部の華春瑩(か・しゅんえい)報道官の抗議を見てみよう。
外交部の猛烈な抗議
外交部の華春瑩報道官は、えくぼのある、にこやかな笑顔の持ち主だが、時によっては戦士のような激烈さで抗議を機関銃のようにまくしたてる。