「できることなら辞任する」香港行政長官キャリー・ラムが語った本音とは?
香港は死なず
林鄭氏は2017年7月に行政長官に就任。中国政府寄りの政策を強引に進め、中国の習近平国家主席から厚い信任を得ている。国営通信の新華社によると、昨年12月に長官が北京を訪れた際には習国家主席が「中央政府は林鄭長官の仕事ぶりと香港政府を全面的に支持している」とお墨付きを与えた。
前出のチャン氏は、林鄭氏は議論を呼んだ多くの提案を推進して成功を収めたことで、「逃亡犯条例」改正案も成立可能だと確信を持っていたと指摘。
「それまでの成功が重なって長官は自信満々だった。最初に抗議デモが起きたときにも、『心配ない。2日あれば事態は収まる』と考えていた。しかし長官は完全に間違っていた」と指摘する。
林鄭氏は先週の会合で、逃亡犯条例改正案は自身の進めたことで、「香港の制度の大きな抜け穴を塞ぐ狙いがあった。中央政府からの指示や強制はない」と説明した。
林鄭氏は逃亡犯条例改正案の成立を目指したことについて「状況を考えれば非常に軽率だった。香港の住民の間に中国本土に対する大きな恐怖と不安があり、それをわれわれは十分に感じ取り、把握していなかった」と語り、深い後悔の念を示した。
同氏は会合で、暗い見通しを示した。
警察は今後も「暴力をエスカレートさせた」容疑者の逮捕を続けると断言。事態がいずれ好転するというバラ色の未来を示すのは甘い考えだと強調した一方、香港はいずれ「再生する」との期待も明らかにした。
さらに「香港はまだ死んでいない。極めて重い病にかかっているが、まだ生きている」と述べた。
*配信済みの記事に情報を追加し、再構成しました。
※9月10日号(9月3日発売)は、「プーチン2020」特集。領土問題で日本をあしらうプーチン。来年に迫った米大統領選にも「アジトプロップ」作戦を仕掛けようとしている。「プーチン永久政権」の次なる標的と世界戦略は? プーチンvs.アメリカの最前線を追う。
2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら