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中国のイスラム教徒抑圧めぐり米が会合、30カ国参加 中国は反発

2019年9月25日(水)17時17分

米国は、国連総会に合わせて30カ国以上が参加した会合を主催し、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族を中心とするイスラム教徒に対し「おぞましい抑圧政策」を行っていると非難した。写真はモスクに置かれたカメラ。昨年9月にカシュガルで撮影(2019年 ロイター/THOMAS PETER)

米国は24日、国連総会に合わせて30カ国以上が参加した会合を主催し、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族を中心とするイスラム教徒に対し「おぞましい抑圧政策」を行っていると非難した。中国外務省は25日、米国の「うそ」に強く反対すると表明した。

24日の会合では、サリバン米国務副長官が「生還者が次々と国家による抑圧の恐怖を証言している状況で、(国連と加盟国には)非常に大きな責任がある」と述べた。

また、国連が中国による人権侵害に対し、緊密に監視できることを保障するのは、加盟国にとって道義的な義務と指摘。その上で国連は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対して「迅速に、かつ妨害と監視を受けることなく」、新疆にアクセスできる方法を模索しなければならないと付け加えた。

副長官は、この日の会合について、カナダ、ドイツ、オランダ、英国が協賛し、30以上の国連加盟国と欧州連合(EU)代表団、20以上の非政府組織(NGO)、およびウイグル族の被害者らが出席したと説明した。

また、副長官は「中国のおぞましい抑圧政策を直ちに中止するよう要求し、それを強制する国際的な努力に参加するよう、他の勢力にも働きかけている。人権と自由に対するこの攻撃にわれわれがどう対応するかにより、歴史は国際社会を評価するだろう」と述べた。

欧州対外行動庁(EEAS)のアジア部門当局者は、EUは現状を「懸念して」おり、新疆への「意味のある」アクセスを求めたと説明。「虐待や拷問の情報に懸念を抱いている。中国は、常に条件付きでわれわれを収容施設に招いている。現在、自由なアクセスに向け条件を交渉している」と述べた。

トランプ大統領は、23日の会合に続き、24日も宗教迫害に終止符を打つよう求める発言を繰り返した。

国連によると、中国が過激論者の撲滅と新たな技能提供のための「職業訓練センター」と称する収容施設には、ウイグル族と他のイスラム教徒ら100万人余りが拘束されている。

中国外務省の耿爽報道官は25日の会見で、米国の「うそ」に強く反対すると表明。「米国のうそは事実と真実の前に崩れ去るだろう」と述べた。

*内容を追加しました。

[ニューヨーク/北京 25日 ロイター]


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