太平洋諸国で存在感を強める中国 米国は「肉食獣の経済力」を懸念
地元商店の懸念
国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局の小国担当アリソン・スチュワート氏は、太平洋諸国の多くは、不足する大規模インフラの整備や自然災害対策のため、融資を必要としていると話す。
「ショックの影響を受けやすく、大規模インフラ整備の必要性を抱えているということは、債務が急速に膨らみやすいことを同時に意味する」と、同氏は書面で回答を寄せた。
サモアが抱える対外債務10億5000万タラ(約410億円)のうち40%は対中国であり、断トツの債権者となっている。
中国移民の禁止を掲げる新政党を率いる弁護士のウナサ・イウニ・サポル氏は、方向転換しなければ、サモアは主権を失う恐れがあると警告する。
「長い間、国民の眼前にカネがぶら下げられ、派手な施設の建設が進められてきた。それは失うものが大きい」と、サポル氏は言う。
アピア港に面した商店主らは、中国が国の財政に影響力を強めていることを心配していると話し、現地の中国人が経営する商店が価格を引き下げていることに懸念を示した。
アサウ地区では、地元の商店が廃業に追い込まれることを懸念した村長らが中国人による出店を禁止した。だが農園を経営する前出のトゥファガ氏は、この地区は雇用を必要としており、港の入り口に繁殖するサンゴの駆除に多額の投資が必要になると話した。
「ほかに誰がやってくれるというのか。大きな船が入れるよう、中国が港を拡大してくれるのを待ち望んでいる」と、同氏は語った。
Jonathan Barrett
(翻訳:山口香子、編集:久保信博)
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