第4弾対中関税制裁と為替操作国認定に対する中国の反応
たとえば外交部の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は定例記者会見で、「中国は強い不満と断固たる反対を示す。米国が関税措置を実行するなら、中国は自国と国民の根本的な利益を断固として守るために必要な報復措置を取らざるを得ない」と述べた。そして米中貿易摩擦が始まって以来、常套句となっているような「中国政府は貿易戦争を望んでいないが、全く恐れていないし、必要ならば断固として戦う」と繰り返した。
ネットでも「せっかく一休みしたかと思ったのに、トランプは何を取り乱しているのか」といった声が沸き上がり、「民主主義は本当にいいものなのか。大統領再選を目指すために、世界中をかき乱している。みっともない」という反応もあった。
為替操作国認定に対する中国の反応
8月1日の対中制裁第4弾発動宣言に対して、世界の株式市場に動揺が広がったが、中国においても例外ではない。いや、自国の問題なのだから、最も敏感に反応したと言っていいだろう。
その結果、8月5日に1ドル=7元にまで人民元が下落すると、冒頭に書いたようにトランプは「待ってました」とばかりに「中国を為替操作国と認定する」とツイートし、米財務省が正式に認定を発表したわけだ。
アメリカが中国を為替操作国と最後に認定したのは1994年(5回目)で、8月5日の発表は25年ぶりのこととなる。
CCTVを始め、中国の全てのメディアは、8月1日の時点よりもさらに激しく反応した。ニュースキャスターも怒りを込めて、噛みつくような勢いで解説し、多くの専門家や政府関係者の発言を報道しまくった。
そのような中、商務部は「中国の関連企業は米農産品の新規購入を一時停止する」という通達を出した。「新しく購入するのを一時中止」と宣言したわけだが、「新」の一文字を読み落としたのか、日本の一部メディアは、これを以て「習近平政権内の権力闘争」として報道しているのには驚いた。国家発展改革委員会が、それまでの発表と異なる発表をしたのは、「習近平指導部の内部での意見の対立や混乱を指摘する声もでている」と、日本のそのメディアは書いている。
「指摘する声はどこから?」と言いたい。
記者自身がそう思っているから、適宜「声もでている」などと不特定多数のせいにして、どうしても「権力闘争」へと日本の読者を誘導したいのだろう。
トランプ大統領が、ここまで一秒先が読めないような言動を繰り返せば、それに対応しなければならないため、世界中が混乱するのではないだろうか。
このようなことでは、中国の真実あるいは世界の真相を追いかけることなどできないだろう。