グーグル対オラクル ソフト開発の未来を決める巨大テック企業同士の最終決戦
Google vs Oracle
ILLUSTRATION BY ALEX FINE
<スマホ用OSアンドロイドに使われたプログラミング言語のコードをめぐるIT大手同士の90億ドル訴訟が、ついに最高裁の舞台に?>
文字どおり2010年代を象徴する著作権訴訟が、いよいよ最終局面を迎えそうだ。
ソフトウエア大手のオラクルがネット検索の王者グーグルを著作権侵害などで訴え、総額90億ドルの損害賠償を求めてから、もうすぐ10年になる。
グーグルはスマートフォン用の独自OS(基本ソフト)アンドロイドの開発に当たり、オラクルが権利を所有するプログラミング言語JAVA(ジャバ)のコード1万1500行を承諾なしに組み込んだ。オラクルはこれを知的所有権の侵害と見なし、10年に提訴した。
グーグルは地裁レベルで2度勝利した。しかしいずれも控訴審で覆され、オラクルに有利な決定が下った。そこでグーグルは上訴を決め、最高裁の判断を仰ごうとしている。175の企業、非営利団体、個人が署名したグーグル支持の意見書15通も提出されている。
裁判の最大の争点は、「アプリケーション・プログラム・インターフェイス(API)」がどこまで著作権法で保護されるかだ。APIは今日、どんなアプリケーション(アプリ)にも使われている。誰が開発したものであれ、あらゆるアプリが相互に、シームレスにつながるようにする結節点がAPIだ。
パンドラやウーバーなどの人気アプリも、APIを通じてスマートフォンのOSと通信している。もし特定のAPIの権利者が著作権を盾に第三者による使用を制限できるとしたら、技術革新と競争が著しく阻害される。グーグルはそう主張している。権利者は誰が当該APIを用いてソフトウエアを書いていいかを決めることができ、結果としてライバル会社による独自プラットフォームの開発を阻止できるかもしれない。
「控訴審判決が確定すれば、大手のソフトウエア会社が今以上に手厚く守られてしまう」と、米反トラスト協会の弁護士ランディ・スタッズは指摘する。
対するオラクルの主張はこうだ。グーグルは当初、JAVAコードの使用ライセンスを取得しようとオラクルと交渉したが、条件面で折り合わなかった。それでも同社は、無断でコードの一部を使用している(これは事実だ)。だから、そのツケは払ってもらわなくてはならない。