「政府は真実を隠している!」 UFOブームがアメリカに再び襲来
DO ALIENS EXIST?
この団体の使命は、UFO研究と関連のエンターテインメント制作、そして国防総省が無視し続けるUFOの超先端技術についての知見を深めることだ。アカデミーは2000人以上の投資家を集め、約259万ドルを調達したと主張している。
シンポジウムに登場したエリゾンドは、大勢の熱狂的聴衆に迎えられた。「時には変人扱いされるかもしれない」と、彼は語り掛けた。「でも、皆さんは常に正しかった」
警察や国防総省、ラジオ番組などにUFOの目撃情報を報告する人々は、年間数千~数万人単位でいる。一説によると、1905年以降に報告された目撃例は10万回以上という。
そのほぼ全てが雲、流星、鳥、気象観測気球などの誤認として説明できる。だがいかなる合理的な解明も、真の「UFO信者」の確信を強めるだけだ。エイリアンの証拠は大量にあるが、いわゆるディープステート(国家内国家)の秘密軍事文書(文字どおりの「Xファイル」)に隠匿されていると、彼らは信じている。
Xファイルがらみの陰謀論はUFO信者のお気に入りだ。一部の有名人もこの動きを後押ししている。例えばジョン・ポデスタ元大統領首席補佐官は数年前にツイッターで、自分はビル・クリントン大統領の首席補佐官だったのにUFO関連文書の公開を実現できなかったと嘆いた。
陰謀論者にとって、エリゾンドの登場は自分たちの主張に信頼性を与える希望の光だった。その経歴は、一流のキャリアを持つ職業軍人の典型例だ。
マイアミ出身。父親はキューバ人亡命者で、61年のピッグス湾事件(CIA主導でフィデル・カストロ政権の転覆を図り、失敗した秘密作戦)に参加していた。エリゾンドは警備員として働きながらマイアミ大学に通い、95年に卒業後、陸軍に入隊。軍のスパイとして訓練を受けた。国防総省時代に不満分子や変人めいていた兆候はなく、南米と中東で武装勢力の動向を追う秘密任務にキャリアの大部分を費やした。
10年、エリゾンドは「原因不明の航空現象」に関する報告を調査する小グループの責任者になった。その3年前にネバダ州選出のハリー・リード上院議員(当時)の要請でスタートした地味な低予算プロジェクトだった。詳細は不明だが、このプロジェクトはネバダ州の軍需関連企業ビゲロー・エアロスペースとの共同事業だったようだ。同社のオーナーで億万長者のロバート・ビゲローは熱心なUFO信者だ。
NYTの記事が出る2カ月前、エリゾンドは国防総省を退職した。本誌は17年10月4日付の辞表の写しと称するものを見せられたが、そこにはプロジェクトへの関心の低さに対する不満が書かれていた。「機密レベルでもそれ以外でも圧倒的な証拠がある。わが軍に対する戦術的脅威、わが国の安全保障への実存的脅威になる可能性があるにもかかわらず、国防総省の一部はさらなる調査に根強く反対している」