ロシアの領空侵犯は日米韓への挑発か
Russia May Be Testing U.S. Military's World Order with Air Fight Over Asia
竹島上空に侵入したベリエフA50空中警戒管制機の同型機 Alexander Zemlianichenko/REUTERS
<竹島上空をロシア機が領空侵犯するという前代未聞の試みは、アメリカ主導の世界的軍事秩序に対するロシアの挑戦状かもしれない>
日本と韓国が領有権争いをしている竹島の上空をロシアと中国の戦闘機が侵犯し、韓国軍から警告射撃を受けるというきわめて珍しい事件が起きた。これは、アメリカが考える世界の軍事秩序に対するロシアの示威行為とみることもできる。
韓国合同参謀本部は7月23日、ロシアと中国の空軍が韓国防空識別圏(KADIZ)に「侵入」し、その後ロシア軍2機が、日本が領有権を主張し、韓国が実効支配している竹島(韓国名・独島)上空の領空を侵犯したという声明を発表した。これに対して韓国は戦闘機をスクランブル発進させ、「フレア(おとり用熱源)発射と警告射撃を含む戦術的行動をとった」。
合同参謀本部は「ロシアの軍用機が韓国の空域に侵入したのは今回が初めて」としている。
韓国の聯合ニュースがある当局者の話として伝えたところでは、最初に領空に侵入したロシアのベリエフA50空中警戒管制機は通信による警告に応答しなかった。そこで韓国のF-15KとF-16K戦闘機が「フレア10発送り、80発の警告射撃を行った」という。その後まもなくロシア軍機は再び韓国領空を侵犯したため、韓国軍機は「より強力な軍事行動をとり、フレア10発と280発の警告射撃を実施した」。
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中ロは共同訓練中?
韓国側の説明をロシア政府は完全否定したが、ロシアは中国と急接近しており、これまで何度も東アジア地域でアメリカとその同盟国に対して挑発行動をしている。
ロシアの国営タス通信によれば、ロシア国防省は中国のH6-K爆撃機とロシアのTu-95MS爆撃機は「日本海と東シナ海の計画されたルートの巡回飛行を実施していた」と述べ、それは「両国にとってアジア太平洋地域における初の長距離航空機による共同巡回飛行」であると説明した。そして「この飛行は2019年の軍事協力計画の一環として行われたもので、第三国に対するものではない」と付け加えた。
ロシア国防省は「飛行記録によれば、他国空域の侵犯はなかった」と主張し、また警告射撃を行ったという韓国側の発表を否定。もしそうであればロシア機のパイロットは「即時応戦していたはずだ」と語った。
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中国外務省の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は記者会見で、この事件については認識がないと述べながら、「侵入」という言葉は「慎重に」使用されるべきだと語った。