最新記事

移民

リビア沖で移民乗せた木造船転覆 今年最悪の115人死亡の恐れ

2019年7月26日(金)10時12分

リビア沖の地中海で移民を乗せた木造船が転覆し、リビア海軍当局者が明らかにしたところによると、115人前後が行方不明で溺死した恐れがあり、これまでに134人がリビアの沿岸警備隊や地元の漁業従事者らに救助されている。写真はリビア海軍に救出された移民達。トリポリで撮影(2019年 ロイター/ISMAIL ZITOUNY)

リビア沖の地中海で移民を乗せた木造船が転覆し、リビア海軍当局者が25日に明らかにしたところによると、115人前後が行方不明で溺死した恐れがあり、これまでに134人がリビアの沿岸警備隊や地元の漁業従事者らに救助されている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はこれより先、最大150人が死亡した恐れがあると推定。グランディ国連難民高等弁務官はツイッターで、「今年最悪の地中海の悲劇が起きた」と投稿した。

リビア海軍の広報担当者によると、船には、エリトリアなどのサハラ以南のアフリカやアラブ諸国からの移民250人前後が乗っていた。

リビアは移民や難民のハブとなっており、多くは航海に適さない船で欧州を目指している。

ヤクスリーUNHCR報道官は、今回の転覆で年初からこれまでに地中海で出た移民の死者数が600人超に達し、今年通年では6年連続で1000人を超える見通しになっていると説明。「人々がこのような危険な船の移動を行う原因を解決しないかぎり、悲しいことだが今回がこうした悲劇の最後の例とはならない公算が大きい」と述べた。

さらに同報道官は、生存者はリビアにある2カ所の収容施設に移送される公算が大きく、そこで新たなリスクにさらされるとして速やかな解放を求めた。

報道官は、「これらの収容施設は水と食糧が不足しているほか、しばしば不衛生な状態であることが分かっている。また、人権侵害も広範囲に報告されていることを認識している」と述べた。

リビアは、移民は不法に出入国しているとし、定期的に施設に収容している。国連は、これらの施設は事実上刑務所で、収容者は内戦に巻き込まれる新たなリスクにさらされるとしている。

[トリポリ/ジュネーブ 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20190730issue_cover200.jpg
※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2月小売業販売額は前年比+1.4%=経産省(ロイタ

ビジネス

相互関税、全ての国が対象に=トランプ米大統領

ワールド

トランプ氏、5月中旬にサウジ訪問を計画 2期目初の

ワールド

イスタンブールで野党主催の数十万人デモ、市長逮捕に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中