インドネシア「大統領選無効」憲法裁審理続く 野党連合崩壊で政界再編
野党連合一部がプラボウォ派から距離
インドネシアは「闘争民主党(PDIP)」や「ゴルカル党」「ナスデム党」など主要7政党がジョコ・ウィドド大統領を支える与党連合として大統領の再選続投を支持してきた。
これに対しプラボウォ氏の野党連合は同氏が党首の「グリンドラ党」、スシロ・バンバン・ユドヨノ前大統領率いる「民主党」、民主化運動の指導者の1人だったアミン・ライス氏が結党した「国民信託党(PAN)」、イスラム政党の「福祉正義党(PKS)」の4政党が中心となっている。
このうち民主党は党首代行を務めていたユドヨノ前大統領の長男アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏が、プラボウォ氏の敗色が明確になるとジョコ・ウィドド大統領と2度にわたって会談。大統領の所属政党であるPDIの党首でもあるメガワティ・スカルノプトリ元大統領ともイスラム教のラマダン明けの行事で直接面談するなど、与党との関係修復に乗り出している。
また6月2日にはユドヨノ前大統領夫人の葬儀があり、ここでも和解の場面が見られた。かつてユドヨノ氏は、メガワティ元大統領の下で重要閣僚にありながら辞任し、大統領選でメガワティ氏を破り勝利した。こうした経緯から、両者は「犬猿の仲」となっていたが、葬儀の場で両者が握手する場面が見られ、与党と民主党の歩み寄りの象徴として大々的に報じられた。
さらにPANも6月5日にバラ・ハシブアン副議長が「グリンドラ党、民主党などとの連合は大統領選に関するものであり、それは終わった。今後どうするかは党大会で選択することになる」と野党連合から距離を置き、独自の路線を進むことを示唆した。
これに対し「PKS」は今後も野党連合にとどまるとしながら「PANも民主党も野党連合に留まると信じている。連合の相手を変えることは政党の姿勢としては問題だ」(マルダニ・アリ・セラ党中央幹部委員長・7日)と野党連合解体の動きを牽制するなど、野党連合各党の去就が注目の的となっている。