ニュース速報
ビジネス

景気判断は維持、米通商政策で先行きの「下振れリスク高まる」=4月月例報告

2025年04月18日(金)18時28分

 4月18日、政府は公表した4月の月例経済報告で、景気が「緩やかに回復している」との判断を維持した一方で、前月までの「一部に足踏みが残る」という表現に代わり、「米国の通商政策などによる不透明感がみられる」と指摘、米関税政策に対する警戒を強めた。都内で3月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Tetsushi Kajimoto

[東京 18日 ロイター] - 政府は18日に公表した4月の月例経済報告で、景気が「緩やかに回復している」との判断を維持した一方で、前月までの「一部に足踏みが残る」という表現に代わり、「米国の通商政策などによる不透明感がみられる」と指摘、米関税政策に対する警戒を強めた。表現の変更は昨年8月以来8カ月ぶり。

先行きについては、堅調な企業収益や春闘の賃上げ上振れを背景とする所得環境の改善などが緩やかな景気回復を下支えすると見込む一方で、「米通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている」と言明。前月と同様、物価上昇の継続による個人消費への影響を景気の下押しリスクに挙げたほか、金融資本市場の変動などの影響に「一層注意する必要がある」とした。 

個別項目では、業況判断を前月の「改善している」から「このところおおむね横ばいとなっている」との判断に引き下げた。下方修正は2022年3月以来。 

その他の項目は全て据え置いたが、個人消費については「消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる」とし、「一部に足踏みが残る」が持ち直しの動きがみられるとした前月から表現を変更した。

トランプ米政権は今月、貿易相手国に相互関税のうち基礎税率として一律10%を課した。鉄鋼・アルミ製品、自動車にもそれぞれ25%の追加関税を発動している。赤沢亮正経済再生相は米ワシントンで16日、関税を巡りトランプ大統領や閣僚らと初めて協議した。 次回の協議を4月中に開くとしており、できるかぎり早期に合意し、首脳間で発表することを目指す。

内閣府担当者によると、日本から米国向けの駆け込み輸出や出荷手控えの動きなどは「まだみられない」ほか、米関税政策が日本経済に与える影響は「未知数」のため、今月は景気判断の変更でなく、表現変更にとどめた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中