キャッシュレス化が進むインドネシア 配車サービスGOJEKが社会を変える
物流とサービスをマルチ展開して急成長するGOJEK。写真はジャカルタ市内で女性客を乗せて走るGOJEK。Garry Lotulung - REUTERS
<日本でもにわかに盛り上がってきたスマホ決済サービス。本場中国を追いかけて、急成長をしているのが東南アジア各国だ。銀行口座やクレジットカードを通り越してフィンテックが発達しつつあるインドネシアの実情とは?>
インドネシアのオンライン配車大手の「GOJEK(ゴジェック)」社のマーチャント部門長リュウ・カワノ氏(日系2世)は6月19日、ジャカルタ市内の日本貿易振興会(JETRO)ジャカルタ事務所で講演し、「GOJEKは常にパートナーを探しており、日本企業とも幅広い分野での協業を進めたい」と日本企業との関係強化に向けた取り組み姿勢を表明した。インドネシアでは急速に電子マネーなどのフィンテックが進んでおり、人びとの生活に変化をもたらそうとしている。
東南アジアの大国インドネシアは、シンガポールに次いでオンラインシステムが発達しており、ゴジェックはインドネシアのフィンテックを代表するベンチャー企業で、シンガポールの銀行DBSグループとも業務提携するなど成長著しい企業だ。
その最大の強みは世界第4位の人口2億5000万人という巨大マーケットである。
インドネシアには伝統的な交通シェアリングサービスとしてバイクタクシーの「オジェック(OJEK)」が存在し、市民の足であった。しかし、オジェックは運転手が待機している場所まで赴き、なおかつ利用料金を運転手と直接交渉する必要があった。また着用が義務付けられているヘルメットを使わないケースも多かった。
ところがGOJEKは、待機場所で終日利用客を待つバイクタクシーの効率的で利用者の便を考えたサービスの提供を開始。マレーシア発祥で同様のサービスをインドネシアでも展開する「Grab」と激しい競争を展開している。
オジェックからの参加者や事務職や警備員からの転職者、失業者らによる運転手登録が相次ぎGOJEKのライダーは急増した。登録されるとユニフォームである緑と黒のジャンパーと同乗者用も含めたヘルメット(共にGOJEKのロゴが描かれている)を与えられ街に飛び出していく。
失業者にも雇用機会を提供していることで「GOJEKの取り組みはインドネシアの社会問題の解決の一助ともなっている」(GOJEKカワノ氏)と単なる利益追求だけでなく社会貢献の役割も果たしていると強調する。
スマートフォンで専用アプリを用意すれば、いつでもどこでも客の注文を受け取れる便利さが魅力で、利用者にしてもバイクや自動車を利用する場合、料金は依頼発注時に表示されるので値段の交渉は不要。バイク同乗の際はヘルメットだけでなくヘアーカバーやマスクも希望すれば貸出と便利なことこのうえない。