最新記事

英政治

次期イギリス首相を狙う11人の下馬評は

Who Will Replace Theresa May?

2019年6月15日(土)13時40分
ジョシュア・キーティング

■アンドレア・レッドサム(前下院院内総務)
▼オッズ:8倍

前回の16年の党首選では、議員の投票でメイに次ぐ2位だった。ところが、子供がいる自分は子供のいないメイよりもイギリスの将来に利害があると発言し、物議を醸した。

元投資銀行家で、デービッド・キャメロン前首相とメイの政権で数々の閣僚を歴任。他のブレグジット支持者よりも長期にわたりメイの支持者として残っていたが、メイが辞任を表明する2日前に下院院内総務を辞任した。

ブレグジット支持派の中では最も強硬かもしれない。メイの離脱協定は死んだも同然だと発言し、再交渉には興味がない。代わりに、離脱後に他のヨーロッパ諸国との重要な問題に関して一連の特別な対応を求めるという「管理された合意なき離脱」シナリオを支持している。

EU側はそのような合意には興味がないとしているが、それでも10月31日までに再交渉が可能と約束する候補者よりもレッドサムのほうが現実的だろう。

■ドミニク・ラーブ(前EU離脱担当相)
▼オッズ:20倍

メイとEUとの交渉を監視する立場にあったラーブは、11月にメイが離脱協定案を公表したとき、抗議の意味で辞任した。ブレグジットに関する現在の立場はジョンソンと似ており、離脱協定の再交渉は試みるが、うまくいかなかったら合意なしで離脱するというものだ。

しかし彼はさらに踏み込んで、合意なき離脱を実現するために、議会の決定を覆すことを示唆。法人税率引き下げと公立学校の民営化を支持するラーブの立場は、保守党の穏健派にとってジョンソンよりも受け入れ難い。

■エスター・マクベイ(前雇用・年金相)
▼オッズ:100倍

マクベイはラーブと同時期にメイ内閣を辞任。それ以来、なんとしても首相になろうとして、労働者階級の票を取り戻すことを目的としたブルーカラー保守主義の運動グループを立ち上げ、パブ巡りを開始した。

しかしマクベイは出馬表明以来、散々な目に遭っている。EU離脱の最大の障害となっているアイルランド共和国と北アイルランドの国境管理に関して、そこには「見えない国境」があり得ると語り、嘲笑を買った(多くの候補者が「テクノロジーによる解決」などと曖昧な表現でごまかしていた部分を分かりやすく言い換えようとして失敗したようだ)。

さらに彼女は、性的少数派のカップルについて学校で行われる討論に、子供を参加させない親の権利を擁護したことで反発を受けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日ぶり反発、エヌビディア決算無難通過で

ワールド

米天然ガス生産、24年は微減へ 25年は増加見通し

ワールド

ロシアが北朝鮮に対空ミサイル提供、韓国政府高官が指

ビジネス

午後3時のドルは154円後半、欧州PMIでユーロ一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中