最新記事

北朝鮮

金正恩、米朝会談決裂で対米特別代表を処刑 妹の与正も「重大な間違い」で謹慎処分に

2019年5月31日(金)12時20分

韓国紙の朝鮮日報が報じたところによると、北朝鮮は2月の米朝首脳会談が物別れに終わった責任を問い、金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表、および事務レベルの交渉を行った複数の外務省担当者を処刑した。写真は金正恩朝鮮労働党委員長。ウラジオストクで4月撮影(2019年 ロイター/Shamil Zhumatov)

韓国の朝鮮日報は31日、北朝鮮が2月の米朝首脳会談が物別れに終わった責任を問い、金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表、および事務レベルの交渉を行った複数の外務省担当者を処刑した、と伝えた。

同紙が匿名の北朝鮮筋の話として伝えたところによると、金革哲氏は4人の外務省幹部とともに3月に平壌の美林飛行場で処刑された。いずれも米国のためにスパイ活動を行った罪に問われたという。

同筋は朝鮮日報に「交渉に関して米国の意図を適切に把握しない不十分な報告を行ったため」、金革哲氏はスパイの罪に問われたと述べたという。

ロイターは、この報道の信憑性を確認できていない。

米国務省の複数の当局者は、報道を確認する情報を得ていないと述べた。

韓国統一省の担当者はコメントを避けた。青瓦台(韓国大統領府)の高官は、まず信憑性を確認すべき問題にコメントするのは不適切だと述べた。

ある外交筋はロイターに対し、ハノイの米朝首脳会談決裂後、金革哲氏らが強制労働や思想教育といった処罰を受けている兆候があったが、処刑されたことを示す証拠はない、と語った。

朝鮮日報によると、金正恩朝鮮労働党委員長の側近で、米朝首脳会談に向けてポンペオ米国務長官のカウンターパートを務めていた金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長は強制労働と思想教育を受けるために中国との国境近くの施設に送られた。

韓国国会の議員は4月、ロイターに対し、金英哲氏は党の主要ポストから外されたと明らかにしていた。

躍進、そして凋落

金革哲氏は、ハノイ首脳会談の数週間前に米国のビーガン北朝鮮担当特別代表のカウンターパートに任命された時は、北朝鮮側の新星とみなされていた。

だが、金氏がどのような専門知識を持つのかや、米側との実務協議でどのような役割を担っていたかは、ほとんど分かっていない。

朝鮮日報によると、首脳会談の事前交渉に加わっていた党統一戦線部のキム・ソンヘ統一戦線策略室長と首脳会談で北朝鮮側の通訳を務めたシン・ヘヨン氏は政治犯収容所に収容された。

キム・ソンヘ氏について、外交筋は、寧辺の核施設を廃棄する見返りに制裁を解除するという提案を策定した中心人物であり、処罰は避けられなかったようだと述べた。この提案は結局、完全な非核化の行程表を要求する米国に拒否された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国輸出、2月は1%増に回復も予想下回る トランプ

ビジネス

中国2月製造業PMIは50台回復、3カ月ぶり高水準

ワールド

米政権、イスラエル向け30億ドル武器売却を議会に通

ワールド

米軍、不法移民対応で南部国境に1140人増派 総勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身のテック人材が流出、連名で抗議の辞職
  • 4
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 5
    米ロ連携の「ゼレンスキーおろし」をウクライナ議会…
  • 6
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 7
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 8
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 3
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 4
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 5
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 8
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中