トランプ、対中関税25%に引き上げを発表 中国は今週の通商協議中止も
トランプ米大統領は、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明し、中国への圧力を大幅に強めた。ホワイトハウスで3日撮影(2019年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ米大統領は5日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明し、中国への圧力を大幅に強めた。現在関税を課していない3250億ドル相当の中国製品についても、「近く」25%の関税を発動する考えを示した。
大統領はツイッターに「中国との通商協議は継続しているが、遅すぎる。中国側は再交渉しようとしている。ノーだ」と投稿した。
トランプ氏はこれまでに通商協議の進展状況や習近平国家主席との関係について前向きな発言をしてきており、関税引き上げの表明は大きな方向転換となる。
ムニューシン米財務長官は前週、通商協議のため北京を訪問し、協議は「生産的」だったとの見方を示した。今週は中国の劉鶴副首相がワシントン入りして再協議することになっている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として5日、トランプ大統領のコメントを受けて中国が今週の協議を取りやめることを検討していると報じた。
米当局者は、中国側が協議に出席するか現時点で分からないとした。米通商代表部(USTR)はコメントを出していない。中国商務省は取材に応じていない。
中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」の編集主幹はツイッター上で「劉副首相が今週訪米する可能性は非常に低い」との見方を示した。
米中通商協議の妥結をほぼ織り込んでいた各国金融市場には動揺が広がり、米株価指数先物は2%超下落。アジア株も売り込まれ、中国の主要株価指数は4%超急落した。
カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はFOXニュースで、大統領のツイートは中国に対する警告だとの見方を示した。
カドロー氏は「大統領は警告を発していると思われる。米国は誠意を尽くして10%から25%への関税引き上げを延期し、10%に据え置いてきたが、協議がうまくいかなければ、そうした措置は永遠には続かないかもしれない」と述べた。