ピエール瀧とK-POPアイドルBIGBANG V.Iに見る芸能人スキャンダルの自粛問題
韓国も地上波放送局は配信停止だが......
このように、続々とアイドル歌手が事情聴取されているわけだが、韓国での放送自粛や楽曲の規制はどの程度されているのだろうか?
まず、一連の疑惑の発端となったV.Iは、3月9・10日に行われるはずだった大阪城ホールでのソロコンサートを中止。その後17日に予定されていたジャカルタでのコンサートも中止した。
また、経営に参加していた「アオリの神隠し」というラーメンチェーン店(韓国内43店舗、海外7店舗)は、事件発覚から売り上げの70%が下落。V.I側はチェーン店に加盟費を返金したが、その総額は10億ウォン(約1億円)にも上るという。このほかにもV.Iは事業を手広く行っていたが、居酒屋やクラブなどは軒並み閉鎖している。
女性に薬物を飲ませて強制性交した様子を盗撮し、それをSNSのグループルームで共有したとされるチョン・ジュニョンに関しては、今まで出演してきたKBSテレビのバラエティー「1泊2日」や音楽番組「スケッチブック」の過去放送回がKBSのサイトから削除済みだ。しかし、削除したのは元の放送局だけで、音楽配信サービスなどではまだ普通に見ることができる。どうやら、自粛しているのは母体となる放送局で、配信については配信会社側の自主判断に任せているようだ。
また、彼らの音楽作品や映像作品に関しては自粛などは行われていない。V.Iに関しては、主演したネットフリックスオリジナル作品『YG未来戦略室』をはじめ、日本映画『HiGH&LOW THE MOVIE』、所属したグループBIGBANGのドキュメンタリー映画『BIGBANG MADE』にも出演していたが、どの作品も今現在、問題なくダウンロードして観ることができる。もちろんBIGBANGの楽曲もV.Iのソロの曲も今でもダウンロード可能である。
被害者がいれば規制は必要だが......
芸能人が罪を犯した場合、世間に対する影響力は大きい。また、その事件に被害者がいた場合は、写真や映像がテレビなどのメディアに流れるたびに、被害者は事件の記憶がフラッシュバックしてしまうかもしれない。そういった意味で規制するのは必要だ。しかし、今回のピエール瀧のように他に直接的な被害者がいない事件で逮捕された場合、果たしてCDや出演作品の回収までする必要はあるのだろうか?
4月4日、東京地裁はピエール瀧の保釈申請を認める決定をした。罪を償い、薬物中毒という病気を克服して、いつか復活したときには、辞めたくても辞められない中毒患者にとって更生の見本になるよう、芸能人としての影響力を発揮してほしい。それまでには自粛された作品たちも日の目を見ることができるだろう。