米宇宙計画に暗雲 NASA、スペースXとボーイングの設計リスク警鐘
パラシュートの弱点
NASAは、スペースXが過去にISSへの貨物輸送用に設計したカプセルと人間を運ぶために設計した新たなカプセルの間で、設計上の矛盾をいくつか確認した、とプロジェクトに詳しい関係者3人は語る。
スペースXの飛行試験がこれほど間近に迫っていることを考慮すれば、カプセルが超音速で地球の大気圏に突入する際に展開される巨大なパラシュートの設計に関する問題など、指摘されたリスクのいくつかはめったにないものだと関係者2人は言う。
複数のパラシュートが展開されるタイミングや、パラシュート同士の相互作用を巡り、パラシュートの性能や、乗員の安全を確保するべくカプセルを十分に減速できるかどうかについての懸念が生じていると、2人の情報提供者は言う。
グリーソン氏によれば、スペースXではこれまでCCPに向けて17回のパラシュート試験を完了し、宇宙船「クルー・ドラゴン」の第2回実証飛行の前にさらに10回の試験を行う予定である。また同氏は、パラシュートシステムは余裕を持って設計されており、1つのパラシュートが機能しなくてもカプセルは安全に着水できると述べている。
NASAの安全委員会は年次報告書のなかで、スペースXにパラシュートシステムの再設計を要請する可能性があると述べている。関係者2人によれば、再設計となればさらに試験を重ねる必要が生じ、計画はさらに数週間ないし数カ月遅れることになりかねないという。
またNASAは、スペースXのカプセルが海に着水した後、直立ポジションを取りやすくするシステムに設計上の問題があり、過剰な浸水のリスクが生じていることを発見した。これは2人の業界関係者から提供された情報だが、NASA当局者もこれを認めている。
スペースXのグリーソン氏は、「クルー・ドラゴン」の外殻には耐水性があり、それ自体に浮力があるため、着水後に乗員にリスクが生じることはないと述べている。