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ネット「ドナルド・トランプ」という名の犬の悲劇
Shooting of Donald Trump Dog Was Legal Says Sheriff
飼い主がネットにアップした「ドナルド」の写真。「隣人に4発撃たれて死んだ」との不正確な記述が復讐コールを巻き起こした GoFundMe
<「ドナルド」が撃ち殺されると、名前が名前だけに「民主党支持者に殺されたのではないか」と騒然となった>
「ドナルド・トランプ」という名前の犬が射殺された。4発撃たれ、苦しんで死んだ。飼い主がトランプの熱心な支持者だったこともあり、トランプが嫌いな人物によるイデオロギー的犯行ではないか、という見方も浮上し、町は不穏な空気に包まれた。いったい何が起こったのか。
ミネソタ州在住の男性ランダル・トム(59)は2月11日、前日に撃たれて死んだ飼い犬の写真をフェイスブックに投稿した。犬種はアラスカン・マラミュートで、トランプが大統領選で勝利した2016年に生まれたことから「ドナルド・トランプ」と名付けられた。「近所の人間に殺された」と、トムは書いた。「クソ野郎のせいでドナルドは14時間以上も苦しんだ。ドナルド、お前のことを本当に愛していたよ」
これに対し、報復と暴力を呼び掛ける投稿が相次いだ。「犯人を8回撃ってやれ」とか、「動物虐待や赤ん坊殺しを平気でするのは、理由もなく何でも殺す奴だ」というコメントもあった。
「ドナルド・トランプ」という名前や政治的イデオロギーが原因で射殺されたのでは、という見方も浮上。「ゲスなリベラル主義者」による犯行をほのめかす者もいた。クラウドファンディングサイト「GoFundMe」でトムの友人が立ち上げたとされるキャンペーンの説明文には、「いまいましい民主党主義者」によって犬が殺されたとあった。
ドナルドを撃った人物の身元は明らかにされていないが、ネット上では噂が一人歩き。民主党支持者と名指しされた住民が脅迫に慄く事態になった。
公共の安全を守る必要に迫られた当局は、事件当日の事実関係の捜査に乗り出した。その結果、ドナルド殺しについて犯罪行為はなかった、と結論付けた。「犬を射殺したのは、私有地内の家畜を保護するためであり、合法的だった」
実はトムは、よくドナルドを放し飼いにした。そのためのトラブルで、近隣住民は過去3年間に14回も警察に通報していた。住民が噛まれた、他の犬に襲いかかった、羊や鶏などの家畜を殺した、牛や鹿を追いかけた、等々。AP通信によると、トムは2015年にも「犬と猫を放し飼いにして」起訴された。
無責任な飼い主とネットのためにドナルドと罪のない住民が苦しんだ。
(翻訳:河原里香)
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