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気候変動

地球温暖化で島国が海に沈むとき、国際秩序が崩壊する

RISING TIDES SINK GLOBAL ORDER

2019年1月15日(火)17時15分
アダム・トゥーズ(コロンビア大学教授)

現在の国際政治の枠組みにおいて、大国も小国も主権は平等であり永久不変だ。国家主権は未来永劫存続するという前提は、国際社会の基本概念となっている。この前提を基に、各国でさまざまな政策議論が行われる。極限状態で政府が国民に犠牲を要求する権限を持つのは、国家がそうした正統性を備えているからだ。

そうした国家主権の不変性が弱体化すれば、国際社会において政治的・経済的な変動は避けられない。その点を世界はいまだ分かっていない。沈没の危機にある国にどう対処するか、各国は決断しなければならない。パニックに陥った島国でテロが発生するという悲観的予測もある。国際社会は待ったなしで方針転換を迫られるかもしれない。

米政府は、温暖化による深刻な影響は国内全土、特にハワイに及ぶという最新の報告書を発表した。だが、同予測には局所的な影響が抜けている。異常気象と海面上昇の影響を真っ先に受けるカリブ海地域は、長らくアメリカの観光地でもありアメリカの支配下にあった。今、この地域を脅かしているのはアメリカの支配力ではなく、その温暖化軽視だ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2018年01月01&08日号掲載>

※2019年1月1/8日号(12月26日発売)は「ISSUES2019」特集。分断の時代に迫る経済危機の足音/2020年にトランプは再選されるのか/危うさを増す習近平と中国経済の綱渡り/金正恩は「第2の鄧小平」を目指す/新元号、消費税......日本は生まれ変わるか/フィンテックとAIの金融革命、ほか。米中対立で不安定化する世界、各国はこう動く。

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