イギリスのEU離脱劇、メイ首相に残された「3つの選択肢」
1月16日、英国の欧州連合(EU)離脱期日まであと10週間となったが、離脱の形がどうなるか、あるいは本当に離脱するのか不透明だ。写真は15日、ロンドンで撮影(2019年 ロイター/Eddie Keogh)
英国の欧州連合(EU)離脱期日まであと10週間となったが、離脱の形がどうなるか、あるいは本当に離脱するのか不透明だ。
英議会が15日にEU離脱提案を否決したことで、野党の協力を仰いで新たな方針を打ち出さない限り、メイ首相は合意なき離脱かブレグジット(英のEU離脱)撤回を選ばざるを得なくなる。
残された選択肢は次の通り。
●政治的妥協
メイ首相は、15日の否決を受けて、妥協点を探るため議会指導部と対話すると表明。金融市場は、議会が結局はぎりぎりの段階で事態収拾に向けて結束するだろうとみている。
野党・労働党で影の財務相を務めるジョン・マクドネル氏は、もしメイ氏がEUの関税同盟に恒久的にとどまることを受け入れるなら、労働党はこれを支持すると発言した。これは英国が単一市場と緊密な関係を保ち、労働者や消費者がより手厚く守られる道だからだ。
メイ氏が属する保守党は内部の意見対立が非常に深いため、労働党が離脱の最終的な行方に及ぼす影響は大きい。実際、下院で労働党議員256人の一部が賛成に回らない限り、離脱に関するどんな提案も可決にこぎ着けるのは難しい。
ただメイ氏が労働党の立場に距離を縮めれば、保守党内の離脱推進派や閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)の支持を失いかねない。
メイ氏が妥協を導き出せない場合は、総選挙に打って出るか、離脱の延期または合意なき離脱のどれかを選ぶことになる。
多くの保守党議員はこのような重大局面で選挙戦を展開することに反対している。2017年の総選挙ではメイ氏が過半数割れに追い込まれている。メイ氏自身も16日、総選挙は「われわれができる中で最悪の行動」だと語った。
EUのバルニエ首席交渉官は、英国が前に進める1つの方法は、EUの規制に対しより足並みをそろえることだと指摘。複数のEU高官は、例えば英国はEUの関税同盟と単一市場の離脱方針を放棄することができるとの見解を示す。もっともそうした姿勢は、多くの保守党議員の支持を得られそうにない。